平成17年 2月 定例会(第304回) 第三百四回
宮城県議会(定例会)会議録 (第五号)平成十七年三月一日(火曜日) 午前十時一分開議 午後四時四十分散会 議長 渡辺和喜君 副議長 石橋信勝君出席議員(六十一名) 第一番 菅原 実君 第二番 本木忠一君 第三番 長谷川洋一君 第四番 渡辺忠悦君 第五番 庄子賢一君 第六番 佐藤光樹君 第七番 中島源陽君 第八番 中山耕一君 第九番 佐々木征治君 第十番 熊谷義彦君 第十一番 坂下 賢君 第十二番 加賀 剛君 第十五番 伊勢 敏君 第十六番
佐々木敏克君 第十七番 小野 隆君 第十八番 佐々木喜藏君 第十九番 須田善明君 第二十番 安部 孝君 第二十一番 皆川章太郎君 第二十二番 小林正一君 第二十三番 佐藤詔雄君 第二十四番 岸田清実君 第二十五番 岩渕義教君 第二十六番 遊佐美由紀君 第二十七番 藤原範典君 第二十八番 横田有史君 第二十九番 菊地文博君 第三十番 大学幹男君 第三十一番 川嶋保美君 第三十二番 菅間 進君 第三十三番 袋 正君 第三十四番 小野寺初正君 第三十五番 池田憲彦君 第三十六番 秋葉賢也君 第三十七番 村井嘉浩君 第三十八番 安藤俊威君 第三十九番 中村 功君 第四十番 柏 佑整君 第四十一番
菊地健次郎君 第四十二番 本多祐一朗君 第四十三番
佐々木ひろし君 第四十四番 坂下康子君 第四十五番 内海 太君 第四十六番 菊地 浩君 第四十七番 百足健一君 第四十八番 渥美 巖君 第四十九番 長谷川 章君 第五十番 中沢幸男君 第五十一番 石橋信勝君 第五十二番 長島秀道君 第五十三番 畠山和純君 第五十四番 千葉 達君 第五十五番 仁田和廣君 第五十六番 藤倉知格君 第五十七番 高橋長偉君 第五十八番 相沢光哉君 第五十九番 大沼迪義君 第六十番 伊藤康志君 第六十一番 渡辺和喜君 第六十二番 今野隆吉君 第六十三番 千葉正美君欠席議員(二名) 第十三番 青野登喜子君 第十四番 寺島英毅君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 浅野史郎君 副知事 柿崎征英君 副知事 加藤正人君 出納長 菅原清毅君
公営企業管理者 伊藤整史君
病院事業管理者 久道 茂君 総務部長 三浦秀一君 企画部長 伊東智男君
環境生活部長 三浦俊一君
保健福祉部長 加藤秀郎君
産業経済部長 遠藤正明君 土木部長 齋藤 進君 出納局長 佐藤明男君 病院局長 加茂和一君
総務部次長兼秘書課長 河端章好君
総務部次長兼財政課長 千葉三郎君
教育委員会 委員長 藤村重文君 教育長 白石 晃君 教育次長 若生正博君
選挙管理委員会 委員長 槻田久純君 事務局長 足達雅英君
人事委員会 委員長 大立目謙直君 事務局長 佐々木義昭君
公安委員会 委員長 佐藤 潤君 警察本部長 東川 一君 総務室長 阿部信三郎君
労働委員会 事務局長 菊地光輝君 監査委員 委員 阿部 徹君 事務局長 庄子正昭君
----------------------------------- 議会事務局 局長 高橋宣明君 次長兼総務課長 奥村明定君 議事課長 千葉幸雄君
政務調査課長 鈴木国雄君 総務課副参事兼課長補佐 相原正義君 議事課副参事兼課長補佐 鹿野壽悦君 議事課副参事兼課長補佐 佐藤 昭君 政務調査課副参事兼課長補佐 木村 泉君
議事課長補佐(班長) 菅原 清君
議事課長補佐(班長) 渡辺正美君
議事課主任主査 布田惠子君
----------------------------------- 議事日程 第五号 平成十七年三月一日(火)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 発議第一号議案ないし発議第四号議案第三 議第一号議案ないし議第十七号議案及び議第十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第一号及び報告第二号第四 一般質問 〔秋葉賢也君、長谷川 章君、
菊地健次郎君、藤原範典君、池田憲彦君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 発議第一号議案ないし発議第四号議案三 日程第三 議第一号議案ないし議第十七号議案及び議第十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第一号及び報告第二号四 日程第四 一般質問 〔秋葉賢也君、長谷川 章君、
菊地健次郎君、藤原範典君、池田憲彦君〕
-----------------------------------
△開議(午前十時一分)
○議長(渡辺和喜君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
-----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(渡辺和喜君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、十六番
佐々木敏克君、十七番小野隆君を指名いたします。
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△発議第一号議案ないし発議第四号議案
△議第一号議案ないし議第十七号議案
△議第十九号議案ないし議第百四十三号議案
△報告第一号・報告第二号・一般質問
○議長(渡辺和喜君) 日程第二、発議第一号議案ないし発議第四号議案、日程第三、議第一号議案ないし議第十七号議案及び議第十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第一号及び報告第二号を一括して議題とし、これらについての質疑と、日程第四、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。三十六番秋葉賢也君。 〔三十六番 秋葉賢也君登壇〕
◆三十六番(秋葉賢也君) ことしは戦後六十年の節目の年に当たります。私は一九六二年生まれの四十二歳ですが、考えてみれば、戦後の私どもの父親世代の努力と踏ん張りのおかげで、経済的な繁栄はもちろんですが、我々の世代ほど平和で豊かな社会の恩恵を一身に享受してきた世代はないのではないかと思います。こうした戦後日本の安定的発展は、人類史的に見ても、極めてまれなケースではないでしょうか。 しかし、今、我が国はかつてない経済の非常事態からなかなか脱却できずにおり、引き続き、次の世代にもこれまでの繁栄を着実にバトンタッチしていけるかどうかという転換点を迎えていると思います。時代が大きく旋回するとき、間髪を入れずに、機会をとらえて大きくかじを切ることが求められております。時代の潮流を正確に見きわめ、可能な限り望ましい方向に向かわせるために、衆知を結集してその糸口を見出していくことが、我々の世代に課せられた使命・役割ではないかと考えております。時代のかじを切る勇気を持って、万難を排しながら、新しい扉を切り開いていく決意であります。 知事は、この戦後六十年間をどのように総括し二〇〇五年の時代を認識されているのか、まずもってお伺いしたいと存じます。
東京大学助教授の佐藤俊樹氏は、戦後の一億総中流社会と呼ばれたシステムはもはや破綻し、階級社会が進展しつつあると指摘しており、この階級社会化こそが、企業や学校などの現場から責任感を失わせ、無力感を生んだ閉塞状況のゆえんだといたしております。戦後の高度成長期には、確かに日本は、戦前に比べて努力すれば何とかなる開かれた社会でした。しかし、近年、その開放性は急速に失われつつあります。社会の一〇%から二〇%を占める最上位の階層では、親と子の地位の継承性が強まっており、地位や所得の再生産とでも言うべき事態が顕在化いたしております。戦前以上に、努力しても仕方がない閉じた社会に、更に、努力をする気になれない社会になりつつあるように私には思えてならないのです。 佐藤助教授は、選抜のシステム、すなわち学歴や地位を得るための競争のシステムが飽和したことによると分析した上で、この行き詰まりを打破するために着手すべき課題と対策として、一つ、
ブルーカラー専門職と
ホワイトカラー専門職の融合、二つ、
管理職キャリアの再編、三つ、選抜機会の多元化、四つ、世代を超えた不公平の緩和の四つを挙げており、なるほどひざを打つものがありますが、要するに、努力する者がしっかりと報われるという、機会均等の
社会システムづくりを強力に推進していくことが必要だと痛感するわけですが、知事の考え方を伺っておきたいと存じます。 一方、機会の平等やチャレンジしやすい社会を補完するものは、
セーフティーネットの確立だと思います。機会の均等で発生する貧富の差を緩和する手段として、また、機会均等を推進する手段として、失敗した場合の保険が有効だという意味で、いろいろな意味合いで
セーフティーネットの位置づけが議論されておりますが、知事は、このあり方についてどのようにとらえ、認識されているでしょうか、その具体策とあわせてお聞かせをいただきたいと思います。 昨日の河北新報には、「トトロの森よりも不思議」、「愛知万博「サツキとメイの家」超狭き門?」という見出しが躍り、万博の
目玉パビリオンとして再現されることになった
宮崎駿監督の人気アニメ「となりのトトロ」の
主人公サツキとメイの家への入場予約券が、早くも入手困難で、プラチナチケット化していることが報じられておりました。今や万博の成功のためにも頼られるコンテンツとなった
宮崎アニメの、国民的な人気の高さを雄弁に物語っております。 また、現在公開中の「ハウルの動く城」は、昨年の
ベネチア映画祭で既にオッゼラ賞を受賞しておりましたが、先月には、
宮崎駿監督御自身が、同映画祭で優秀な監督に贈られる
栄誉金獅子賞の受賞が決定したと報じられました。日本人としては初めての受賞であり、
アニメ映画の監督に贈られるのも初めてのことだそうで、これまでフェデリコ・フェリーニやスタンリー・キューブリックらに贈られているそうであります。「千と千尋の神隠し」で
アカデミー賞を受賞したときにもまさる今回の快挙であり、我がことのようにうれしく、そして誇らしく存じます。私も早速祝電を送らせていただきました。 さて、昨年十二月議会において、
宮崎駿ジブリワールド構想の県内誘致を提言させていただいてから、各方面でいろいろな反響をいただきました。ぜひうちの町につくってほしいといういわゆるお門違いの要請や、応援しますので最後まで頑張ってくださいという、まるで選挙戦のときにちょうだいするような激励のお便りを初め、それらの多くは賛同の声であり、また、
宮崎駿フリークでは秋葉賢也に負けないぞといった自慢比べのような声でもありました。宮崎ファンのすそ野の広さに、改めて驚かされた次第であります。 中でも、本県の気仙沼出身でいらっしゃる尾形英夫氏を御紹介いただいたことは、大変大きな進展の契機となりました。尾形氏は、今日の
アニメブームの仕掛け人で、アニメ業界では知らない人がいないという
ビッグネームであり、我が国で最初の
アニメ専門雑誌「
アニメージュ」の初代編集長を務めた人でもあります。そして、何といいましても、若き日の宮崎駿氏を見出し、彼を説得し、雑誌「
アニメージュ」に「風の谷のナウシカ」を連載させた張本人であります。昨年末には、早速東京でお会いをし、
宮崎駿ワールドの秘めた可能性とその実現について熱く、熱く、夢の構想とビジョンを訴えてまいりました。 そのかいあってかどうか、尾形さんの御配慮によりまして、ことし一月十七日には、東京の東小金井にあるあこがれの
スタジオジブリを初めて訪問し、
プロデューサーの鈴木敏夫氏と約二時間懇談させていただきました。結論を先に申し上げれば、知事と宮崎監督との対談の実現すら、現状では厳しいという結果でしたが、一方では、極めて有意義な御助言も数多くちょうだいしてまいりました。 宮崎作品は、子供向けに制作しているのではなく、あくまでも大人を対象としたエンターテインメントであるということ。また、
地域づくりの原点は、宮城県ならではの歴史や文化、素材を生かして、地域に根差したものが大事だという視座。そして、
宮崎アニメが世界から評価されている最大の理由は、その内容の本質が極めて日本的なものだからという認識。更には、今現在、宮崎監督が最も関心と興味を持って学んでいるものが、日本の各地方、各地域に古くから伝わる食文化と伝統芸能であることなど、とてもとても示唆に富むお話をいただいてまいりました。この間、
宮崎駿監督御本人ともお目にかかることができ、えっという驚きとともに、感動もひとしおでございました。 ことし県が予定しているみ
やぎ県民文化創造の祭典などの事業において、尾形英夫さんや
鈴木敏夫プロデューサーを招聘し、
地域づくり、芸術文化、環境問題などをテーマにしたフォーラムなどを開催し、今後とも引き続き信頼関係を構築していくべきと考えておりますが、知事の明快なお考えをお聞かせいただきたいと存じます。 あわせて、
スタジオジブリや
ジブリ美術館などにある作品群を借り受けて、夢メッセや県美術館などの展示会を企画し、ぜひ実現すべきと要請いたしますが、いかがでしょうか。 そのためにも、知事におかれましては、今後、機会をつくって、ぜひすべての宮崎作品を御鑑賞いただくとともに、三鷹にある
ジブリ美術館にも足を運び、体感の中で更に理解を深めていただきたいと期待しておりますが、いかがでしょうか。 銀行から夢の担保価値はゼロだと言われ続け、孤立無援だったウォルト・ディズニーが、最後には、ディズニーランドの開園を果たしたように、私も、決してあきらめることなく
ジブリワールドへの夢を追い続けていくことを宣言し、次の質問に移ります。 先月、二月十六日、
地球温暖化防止のための
京都議定書が発効いたしました。二〇一〇年の
二酸化炭素排出量は、このままいけば一九九〇年よりも六・四%ふえ、
京都議定書の目標を一二・四ポイント上回る見通しが示されております。産業部門が減少しても、民生部門は、ビルや世帯数の増加に伴って急増が見込まれ、運輸の旅客部門も、自動車の大型化や保有台数の伸びが著しいことに起因しております。現状では目標達成が困難だとされるこの国際公約を、県としてどのように実現していくのか、更なる対策の強化が必要に思われますが、いかがでしょうか。 現在、環境省が導入に意欲的ないわゆる環境税は、議論が足踏み状態のようですが、昨年十一月に公表された案では、すべての化石燃料と電気の使用に対して、炭素排出量一トン当たり二千四百円を課税し、企業や家庭に広く薄く負担を求め、四千九百億円の税収を見込み、森林の整備や温暖化対策の拡充に充てたいという内容になっております。私は、対策の充実強化の観点から、その財源確保のためにも環境税の導入は不可避のものだと考えておりますが、県レベルにおいても、独自の導入を含めて前向きに検討することが必要だと考えておりますが、知事のお考えをお聞かせ願います。 また、政府は、
京都議定書で義務づけられた
温室効果ガス削減目標を達成するために、
構造改革特区制度を活用するとの方針を示しておりますが、我が県としても、オリジナルなアイデアを立案し、積極果敢に具体化していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 さて、議員条例によって成立させた
自然エネルギーなど
省エネルギー促進条例の施行から三年が経過しようとしておりますが、ようやく、この秋には基本計画の策定が予定されております。具体的な数値目標を盛り込むなど、抽象論に終わらせない明確な内容にすべきだと期待いたしておりますが、策定の進捗状況とあわせてお伺いしておきたいと存じます。 「未来を見る目を失い、現実に先んずるすべを忘れた人間。その行き着く先にあるものは自然の破壊である」、今から四十年前、レイチェル・カーソンがその著書「沈黙の春」の中で、その扉で引用したアルベルト・
シュバイツァー博士の言葉であります。私たちは、来るべき未来を正確に予見することは困難ですが、常に未来を見る目を失ってはなりません。将来世代に対する責任を果たすために、未来のあるべき姿を構想し、未来をしっかりと見据えて取り組んでいくことが必要であります。未来とは、与えられるものではなく、我々がみずからの手でつくり出していくものだからであります。 宮城県は、地球規模の課題に対して、地域から積極果敢に、先導的に取り組んでいく方針や政策を明示し、環境先進県を目指していくべきであります。中央、すなわち国からの指示の範囲の中で、あるいは指示を待って対応するという従来の受け身の姿勢から脱却し、みずからが進んでチャレンジしていこうとする気概を持って、宮城発の先進的なプロジェクトを立ち上げ、実践していくことの重要性を指摘し、次に移ります。 私はこれまで、みやぎらしい教育改革を実現していくためには、現在の公教育が、多様な住民・県民ニーズに的確にこたえていないという現状を十分に認識した上で、まず第一に、宮城県として、従来の画一的で統制的な中央主導による運営から脱却していかなければならないということ、第二に、学校における競争原理や成果主義を積極的に導入すべきこと、第三に、子供たちや保護者の選択肢の拡充を図ること、第四に、学校現場への権限の積極的な移譲の推進など、こうした理念や方針を具体化していく取り組みが不可欠であるということを何度も訴えてまいりました。 知事御自身も、自立と分権の基本理念に立って、子供たちが、この宮城県で最善の教育を受けられる環境の整備に努めていくと答弁されてまいりました。しかし、残念ながら、まだまだ実績と具体的な成果が県民には見えてこない現状にあると言わざるを得ません。改めて、知事のおっしゃる「みやぎらしい教育」の理念とその具体的な真髄とは何なのか、お伺いしておきたいと存じます。 具体的に、私は、週五日制の見直しや授業時間数の増加など、国の方針に縛られない独自性を強く具現化していくことが重要だと考えておりますが、その決意と具体策についてもお伺いいたします。 さて、「男を女にし、女を男にすること以外、何事をもなし得る」と喝破したイギリスの
法学者ド・ロルムのこの言葉は、議会立法権の万能性を意味するものとして有名であります。今日の議会においても、その監視機能とともに立法機能が重要だと言われるのは、およそ
議会制民主主義が法治主義を基盤としているためであります。すなわち、いかなる統治行為も法令に基づいて執行されることが要求されており、
民主主義国家における立法は、議会の意思に基づかない限り、なし得ないのであります。 議会を
文字どおり立法府としてとらえるならば、
議会制民主主義における立法過程においては、民意の集約、その政策化と立法化を本来第一義的な担い手、主体者である議員ないし政治家が主導的に担っていくべきものであります。この点、政治家は立法者、すなわち
ローメーカーでなければならないという文脈において、我が
宮城県議会が先進的にこの役割を発揮してきたことを、いささかの自負心とともに、大変誇らしく認識しております。 ところで、こうした法の支配という近代国家の社会原則の中で、我が国では、守ることが不可能な、あるいは守る必要性が乏しい法律をつくる一方、つくった法律を必ずしも守らない状態が常識化するという現象が散見されており、改善していく必要性を痛感いたしております。この点は、つくった法律は必ず守る、守る必要のない法律はつくらないという欧米諸国でのあり方とは極めて対照的であります。 例えば、イギリスでは、一般道路における速度制限は、運転者の生理と自動車の性能を踏まえ、最高で時速五十五マイル(時速八十八キロ)に設定されている一方、
スピード違反に対する取り締まりを厳格に実施しており、半ば
スピード違反が日常化していると言っても過言ではない我が国とは、極めて対照的であります。 我が国では、ほかにも、
障害者雇用率の未達成状況や
貨物トラックの過積載、労働基準法に違反した
サービス残業の放置、低調な
育児休業制度の利用状況など、枚挙にいとまがありません。更に看過できない点は、
取り締まり権限を持った行政機関までもが、法の現実との乖離を常識と考え、厳格に、そして公平公正に法を執行するという意欲に乏しいという点であります。知事は、こうした実情をどのように認識し、また、どうあるべきと考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。 本県には、現在三百四十一本の条例があります。このうち罰則のある条例が五十一本で一五%を占めておりますが、過去三年間に罰則が適用された実績は十本の条例で三・三%にすぎず、約九七%の条例は、罰則の適用なしという実態にあります。 また、遵守すべき義務規定などを有するものが二百九十九本ありますが、守られているものが二百三十一本で七七%、どちらかといえば守られているものが五十一本で一七%、どちらかといえば守られていないものが二本となっております。守られているとまでは言い切れない五十一本の条例に関しては、いま一度ゼロベースで見直しを、実態に即して見直しをする作業が必要だと考えますが、いかがでしょうか。 加えて、どちらかといえば守られていない二本の条例について、その実態と改正への考え方を伺っておきたいと存じます。 だれに対してルールを厳格に適用するかを決めるいわゆる公権力の行使は、行政・官僚権力の源泉でありますが、言うまでもなく公平公正を旨に厳格に適用、運用されなければなりません。執行部として留意している点について、この際、伺っておきたいと存じます。 「さわやか流、県政に挑戦! ワクをやぶるパワーあります!!」をキャッチフレーズに初当選させていただいてから、はや三期十年にわたって名誉ある
宮城県議会の議席を得続けることができましたことは、本当に多くの県民の皆さんのお支えがあったればこそであり、深く感謝と御礼を申し上げたいと存じます。この間、浅野知事を初め、志ある執行部の皆さんと県政のあるべき姿について切磋琢磨し、論じ合えたことをーー心から誇りに思います。 私がこの十年間で感じました浅野知事の長所は、何といってもその意欲的な改革の姿勢であります。一方、僣越ながら短所にもあえて言及させていただくならば、他人の意見に謙虚に耳を傾ける姿勢にやや乏しい点ではないかと存じます。御自身ではどのように分析されていらっしゃるかわかりませんが、自分のことを棚に上げて申し上げるわけにもまいりませんので、同様に、知事からも、私自身について率直な御助言をちょうだいできれば幸いであります。 この新世紀も助走から加速へとギアチェンジし、ますます力強く宮城県政が発展・繁栄していくことを念じております。私も、これまでと同様に、たとえ書生論と言われようとも、これからも理想主義の志を、旗を高く高く掲げながら、勇気を持って邁進してまいりたいと思います。 本当にお世話になりました。ありがとうございました。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 秋葉賢也議員の御質問にお答えをいたします。 まず、戦後六十年の時代認識についてということでございますが、我々が現在のような物質的な豊かさに恵まれているのは、戦後、我々の先輩たちが、豊かになりたいという一心で懸命な努力を続けてきた結果であり、こうした日本国民の勤勉さとともに、欧米に追いつき、追い越せということを目指した我が国の産業政策のもとで、大量生産、大量消費を可能とする経済システムの構築に成功したことが、大きな要因ではないかと考えております。 現在の時代認識でありますが、現在は、経済的な豊かさという点では一定の水準に達しておりますが、戦後長く続いた制度やシステムの再構築を迫られるなど、我が国が時代の大きな転換期を迎えているということが言えます。そういった中で、雇用形態の変化や年金の問題などに加えて、青少年による凶悪犯罪の発生や教育をめぐる憂慮すべき事態などにより、将来に対する不安や懸念が国民の間に広がっているものと感じております。 機会均等の
社会システムづくりの推進についてということでございますが、社会の閉塞感を打破し、活力の維持向上を図るためには、学歴や年功などにとらわれることなく、努力が正当に評価され、たとえ成功できなかったとしても再挑戦できるような社会を実現し、国民の挑戦意欲を高めることが必要であると考えております。そのためには、機会の均等や公正性、透明性が確保されているとともに、その結果に関しての、いわゆる
セーフティーネットが用意されていることが重要であると認識をしております。 この
セーフティーネットのあり方についてでありますが、例えば、失業手当の給付などのように、単に金銭の給付を行うということにとどまるのではなく、それぞれの地域社会で、就労や地域活動、人間関係の再構築などを通して、社会の一員としてやり直しができるような社会的な
セーフティーネットの整備についても考えていく必要があると認識をしております。その具体策でありますが、社会的な
セーフティーネットを整備するためには、社会の構成員が、いわば地域の底力を発揮して互いに助け合っていくことを基礎としながら、自治体として、福祉、医療、教育などのサービスを提供するという方法によって、安心を給付するということが重要になると考えております。 大綱二点目、
宮崎駿監督の
ジブリワールドへの夢などについてでございますが、ジブリから学ぶべき点についてということですが、宮崎監督を初めとした
スタジオジブリの映画づくりにかける情熱と努力には、
地域づくりや芸術文化の観点からも、学ぶべき点が多いと考えております。 来年度の芸術銀河の予定でございますが、来年度は、オープニングイベント会場に石巻圏域を予定しております。この石巻圏域は、石ノ森萬画館や田代島マンガアイランドなど、漫画やアニメーションによる地域振興に力を入れている地域であります。したがって、対談の企画をしてはどうかという御提案がございましたが、こういった対談の企画は、時宜にかなったものと考えております。企画を練った上で、ぜひ、ジブリの鈴木さん、あるいはみやぎ夢大使になっていただいた尾形さんに対して、信頼関係構築の第一歩として、対談への御出席の依頼をしてみたいと思います。
ジブリ美術館の引っ越し展示についてどうかということでございますが、
ジブリ美術館は、お話によると、二〇〇一年の十月開館以来、ほぼ連日予約でいっぱいという状況と聞いております。美術館の所在が東京の三鷹市ということでございまして、鑑賞の機会はどうしても限られてまいります。そこで、県内で鑑賞の機会を設けるということは、意義のあることであると考えております。今後、県とジブリとの信頼関係を前提にして、借用できますよう働きかけてまいりたいと思います。 今後の作品の鑑賞についてでありますが、私も、「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」などは拝見させていただき、すばらしい作品だというふうに思っております。なかなか時間がとれないのでございますけれども、時間の許す限り、もっと多くの作品に親しんでいきたいと期待をしております。また、この
ジブリ美術館にもぜひ行ってみたいと、上京の折など、寄る機会がございましたら、足を運びたいと思います。 大綱三点目、環境先進県づくりについて、幾つかの御質問にお答えをいたします。 まず、国際公約の実現見通しについてでありますが、国の最近の見通しでは、国レベルでの温室効果ガス六%削減目標に対して、現状での将来見通しは、逆に六%の増加が見込まれております。
京都議定書の発効を受けて、近く策定されます
京都議定書目標達成計画の中では、新たな対策が具体的に提示されることとなっております。 県では、既に昨年三月、本県独自に脱・二酸化炭素連邦みやぎ推進計画を策定いたしました。平成二十二年における県民一人当たりの温室効果ガス排出量を基準年、一九九〇年でありますが、この基準年レベルから二・四%削減をする目標を掲げて、現在、その目標達成に向けた事業に重点的に取り組んでいるところであります。一人当たりの温室効果ガス排出量が二〇〇〇年時点で一九九〇年の基準年比で二二・八%増加の状態にあった我が県にとっては、この目標の達成は決してたやすいものではありませんが、国際公約の実現に向けて、引き続き、地域からの温暖化対策に力を注いでまいります。 次に、県レベルでの環境税導入についてでありますが、いわゆる環境税については、化石燃料の消費に着目した仕組みを想定していると承知をしております。こういった制度を県独自に導入するということになりますと、県民の負担をいたずらに重くするというおそれがございます。また、更に、消費・生産行為の他県への逃避を招くおそれも高いということでございまして、我が国全体としての温室効果ガス削減に必ずしも有効に機能しない可能性があり、これは慎重に対応すべきものと考えております。 次に、構造改革特区の活用についてでございますが、
地球温暖化防止に関連した
構造改革特区制度の活用については、仙台市の杜の都新エネルギー創造・活用特区のように、
自然エネルギーの活用や地域内でのエネルギー需給の効率化に関連した事業の形で、既に事実上の取り組みが始まっております。
京都議定書目標達成計画の中で、温暖化対策としての特区活用が明確に示されることとなれば、今後の温暖化対策では、一層その活用が進むものと考えております。また、県としての制度の活用はもとより、県内各地でこういった構造改革特区のような規制緩和の手法を活用した温暖化対策への取り組みを、積極的に推進していきたいと考えております。
自然エネルギー等・
省エネルギー促進条例に基づく基本計画策定の進捗状況についてでありますが、基本計画の策定に向けて、平成十六年の七月、
自然エネルギー等・省エネルギー促進審議会に対して、基本計画の策定について諮問をいたしました。平成十六年度は、計画の構成要素となる省エネルギーに関する将来展望や課題、目標などを整理し、この二月、省エネルギービジョンとして取りまとめたところであります。平成十七年度は、その成果を踏まえて、
自然エネルギー等の導入促進にかかわる検討を加え、六月ごろをめどに基本計画の素案を取りまとめ、パブリックコメントを実施したいと考えております。現在策定を進めている基本計画では、
自然エネルギーの導入や省エネルギーの促進に向けて、可能な限り具体的数値目標を掲げることにしております。 大綱四点目の教育改革の推進についてでございます。 みやぎらしい教育の具体的理念についてでありますが、みやぎらしい教育は、自立と分権という基本理念に立って、子供たちが、この宮城において最善の教育を受けられるように、学校の評価、情報の公開、競争、そして教育を受ける側の選択、こういったことを通じた環境の整備に取り組んでいくものであります。 具体的には、学校評価のシステム化を進めているほか、すべての県立高校にホームページの開設を義務づけ、その中で評価結果の公表も実施しているところであります。また、宮城県など四県が共同で、地方が主体となった小中学校の統一的な学習状況調査に取り組んでおります。その結果を踏まえて、各県、各学校間の切磋琢磨による教育行政、学校運営、学習指導などの改善、工夫を促進してまいります。 更に、みやぎ教育特区による全国初の高校の学校外での学習単位の認定や学校長の権限を拡大し、特色ある学校づくりを進めるための学校活性化プロポーザル事業の実施、共に学ぶ教育の推進など、他県にはない取り組みを積極的に進めております。このように、学校間の競争や選択の幅の拡大などにより、児童生徒一人一人の能力・適正に応じた自己実現を可能とする教育を推進しているところであります。 教育に関して、宮城県のオリジナルな取り組みへの決意ということでございますが、自立と分権というみやぎらしい教育の基本理念に立てば、全国的な水準維持のために、国が定める大枠は遵守しながらも、我が県の子供たちの教育にとって必要なことをみずから考え、実行していくことは当然のことと考えております。このため、先ほど申し上げた取り組みに加えて、高校生が大学における高度な教育、研究に触れることができる高校と大学との連携事業を県内のほとんどの大学との間で本格実施するほか、児童生徒の豊かな人間関係や課題解決能力を育成し、不登校などの未然防止を図るみやぎアドベンチャープログラム事業を実施しております。また、新年度からは、県内のすべての中学校一年生が、ボランティア活動や
地域づくりを体験する事業を新たに実施するなど、他県にはない取り組みを積極的に進めてまいります。 学校週五日制の見直しということがございましたが、その趣旨や社会全体のシステムとの関係について、十分に見きわめた上で判断していく必要があるものと考えておりますが、授業時間数については、本県のほとんどの学校で、学習指導要領の定める標準的な授業時数を超えて設定しております。更に、放課後や土曜日などの休業日に、教員が、希望する児童生徒に対して、補習や部活動の指導など行っているところであります。 今後とも、県
教育委員会との緊密な連携のもとで、我が県の子供たち一人一人を大切にした教育改革に取り組んでまいります。 なお、この御質問については、教育長からもお答えいたします。 大綱五点目、法の支配と公権力の行使についての御質問でございます。 法と現実の乖離についてということでございますが、社会情勢が激しく移り変わる現代社会においては、法が現実の社会と乖離するということが起こり得る、そういった認識を持っております。そういったような法律があるとすれば、これは適切に見直しが行われるべきものと考えております。 一方、法には、抑止力や啓発、誘導といったさまざまな効果もございます。何をもって法が現実と乖離しているというふうに見るのか、この判断は相当に難しいのではないかというふうに考えております。個々の法律が抱える具体的な問題に即して、行政府、立法府それぞれにおける慎重な検証と判断が求められるのではないかと考えております。 守られているとまでは言い切れない条例もあると、こういったことの見直しについてということでございますが、条例には、当然ながら、それぞれ制定当時の社会状況、制定の目的といったものがあるわけでございます。こういったものを踏まえて、現在の運用状況を常に点検していく必要があると考えております。その上で、必要があれば見直しをし、議会にもお諮りすべきものと考えております。 公権力の行使に当たって留意している点についてということでございますが、行政庁の処分、その他公権力の行使については、公平そして公正であることが厳格に求められる、このことは言うまでもございません。また、行政手続法及び行政手続条例の規定に基づいて、許認可などの審査基準や標準処理期間を設定、公表するなど、県民の立場に立った処理の迅速化や負担の軽減に努めるとともに、説明責任を十分に果たすよう留意しているところであります。 私から最後に、私の長所、短所ということでございますが、私としては、こだわりが強いとか、いこじになるとか、ある意味では、他人の意見に容易に従わないということが短所ということになるのでございましょうか。同じことを、信念を容易に曲げないという言い方にすれば、何か長所のようにも聞こえるわけでございますが、どんなものでございましょうか。短所は、自分がそれに気づいた時点で短所でなくなると。まさに気がついていないことこそが短所だとも言われますので、多分、自分で気づいていない私の短所はたくさんあるのかもしれません。 翻って、秋葉議員の長所、短所ということでございますが、これも聞かれたような気がいたします。まず、これも短所ということから申し上げれば、理屈っぽい、しつこい、ということを挙げたくなります。しかし、このことも、見方によれば、堂々たる理論家である、粘り強い信念の持ち主ということになります。 どうか、今後いかなるお立場になろうとも、この特質を生かして堂々と進んでいかれることを御期待申し上げております。 私からは、以上でございます。
○議長(渡辺和喜君) 教育長白石晃君。 〔教育長 白石 晃君登壇〕
◎教育長(白石晃君) 秋葉賢也議員の御質問にお答え申し上げます。 オリジナルな取り組みの中で、週五日制、あるいは授業時間数増加への取り組みについてはどうかというような御質問がございました。 学校教育法施行規則によりまして、土曜日、日曜日に正規の授業を行うことは認められておりませんけれども、各県立学校の自主的な取り組みとしましては、二十五校で、希望者に土曜課外が実施されるなど、その活用がなされてございます。また、七校時授業の実施などによりまして、標準単位時間を超える授業が、進学者が多い高校を中心に展開されてございます。更に、十九校では長期休業日の短縮が行われてございます。 小中学校に対しましては、今年度から、長期休業中や土曜日に、県立三校を学びの場として提供する地域学習支援センターの設置を行ってございます。来年度は五校に拡大することとしてございます。 更に、県のオリジナルな取り組みについてでございますけれども、県
教育委員会としましては、既に、先ほど知事が申し上げましたとおり、みやぎアドベンチャープログラム事業、あるいは学校評価支援システムの試行、新しい職員評価制度の施行、小学校五年生と中学校二年生を対象とした四県共同実施の学習状況調査、それから、小学校英語教育における六県共同でのモデルカリキュラムや教材などの開発などを行っているところでございます。 更に、来年度でありますけれども、全県の中学校一年生が参加して、ボランティア活動や地域活動等に取り組む十三歳の社会へのかけ橋づくり事業を実施するほかに、市町村と連携いたしまして、小中学校を通じた学力向上を図る地域の教育力向上事業などに取り組むこととしてございます。 これからも、市町村等
教育委員会や各学校との連携を深めまして、宮城県としての先進的な取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。 以上です。
○議長(渡辺和喜君) 警察本部長東川一君。 〔警察本部長 東川 一君登壇〕
◎警察本部長(東川一君) 秋葉賢也議員の御質問にお答えいたします。 まず、どちらかといえば守られていない日本の条例の実態ということでございますけれども、一つ目は迷惑防止条例。これにつきましては、卑わいな言動等違反で、例年四十ないし五十件を検挙しておりますし、昨年は六十七件で六十五人を検挙したところであります。また、飲食店等に係る不当な勧誘、料金の取り立て等の防止に関する条例違反、いわゆるぼったくり条例の違反については、平成十四年の制定以来、昨年までの三年間では、毎年六から八件の違反を検挙しているところであります。このことが、他の条例違反の検挙件数は少ないわけでありますので、そういう意味から、比較的守られていないということで申し上げているわけであります。 次に、改正の考え方でありますけれども、両条例の改正予定についてでありますけれども、迷惑防止条例につきましては、昭和六十年の制定以来、過去二回にわたり改正をしております。特に、平成十四年には、ワールドカップ開催に伴い、ダフ屋対策等で改正をしているという状況にあります。また、いわゆるぼったくり防止条例につきましては、平成十四年七月に制定して間がなく、現時点におきまして特段の不備もないというふうに考えておりまして、したがいまして、両条例とも、当面、我々としては改正ということを予定には組んでおりません。なお、今後の社会情勢や県内の実態、これを見て、適切に対応してまいりたいと思っております。 次に、公権力の行使に留意している点ということでございますけれども、条例の制定目的を尊重して、県民の権利を不当に侵害しないように、厳正・公平な指導、取り締まりに留意しているところであります。特に、罰則のある条文適用に当たっては、規制内容はもとより、証拠に基づき厳格に判断して、検挙措置に当たっているところであります。 以上です。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。 〔四十九番 長谷川 章君登壇〕
◆四十九番(長谷川章君) 今議会は、本会議で一問一答方式が導入された初の議会であります。議会場での本会議の導入は、八つの県議会で既に導入されております。三重、島根、鳥取、徳島、熊本、栃木、大阪であります。先月二十六日から始まった代表質問、自民党・県民会議の藤倉知格議員、フロンティアみやぎの渥美巖議員、民主フォーラムの内海太議員、そして社民党県議団の本多祐一朗議員、それぞれ時間の差はありますが、一問一答方式で執行部と議論を交わしております。同僚議員からは、一問一答方式の導入は、正解だ、おもしろいという声が出ております。今さら言うまでもなく、議会は議論の場であります。その役割のある執行権の監視、政策の提言に当たっては、議論の質がすべてであります。その意味で、一問一答方式の導入は、議会審議の充実、議会活動の質の向上の点で大きな進歩であり前進だと考えております。 そこで、私は、これからの宮城県の地域医療のあり方、市町村合併に伴う権限の移譲と地方振興事務所の再編統合、それに浅野県政の基本理念について、自席ですべて一問一答方式で行います。 〔四十九番 長谷川 章君降壇〕
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) まず、宮城県のこれからの地域医療政策であります。 宮城県は、この四月から医療・健康施策の推進体制整備のために、保健福祉部に医療健康局長、部長級と医療政策専門監、課長級を設けるとともに、事務職四名から成る企画推進班を改編します。この局長には医師を起用、自治体病院の医師確保対策や医療・健康行政への総合的な企画調整に当たるとしております。この報道を見たとき、私は宮城県もついに地域医療の確保について本腰を入れた、画期的だと高く評価をするものであります。よくやってくれたと喜んでおります。 そこでまず、この医療健康局長、そして医療政策専門監ポスト新設の理念と考え方、ねらい、更には具体的な業務内容について執行部の見解をお伺いいたします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) お答えをいたします。 保健福祉部に医療健康局長及び医療政策専門監を置くことにしているわけでございますが、この趣旨でございます。これは深刻な医師不足に対する医師確保対策を初めとした地域医療対策や感染症などに対する危機管理対策などを総合的に推進するために、新たに部長級の医療健康局長の職を設置するということにしたものであります。また、医療関係施策の総合的な企画調整とともに、来年度から実施するドクターバンク事業等の医師確保対策の積極的推進と実効性確保のために、医療政策専門監を設置することといたしました。企画推進班については、医療政策専門監のもとで医療施策の総合調整や医師確保対策、新たな施策への取り組みを行うこととし、拡充したものであります。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 次に、医療政策の転換であります。 去年の七月二十四日、仙台で東北大学医学部主催のシンポジウムが開かれました。地域医療システム構築と大学医学部の果たすべき役割、このまとめが以下のとおりでございます。宮城県は、東北六県の中でも人口当たりの病床数が最も少ない県である。宮城県は、東北六県の中でも医療が最も整備された県では決してない。宮城県には臨床研修指定病院は多いが、この病院の平均病床数でさえ東北六県中最少である。更に、研修指定病院ではない病院の病床数が他県に比べて最少であるばかりでなく、著しく少なくなっており、宮城県だけが大きく水をあけられている。およそ三十年前には、宮城県と東京都及び大阪府の人口十万単位、医師数はほぼ同じだと。しかしその後、東京都及び大阪府には大差をつけられてしまっている。宮城県では、大規模病院が県などの主導でつくられることはなく、東北大学医学部もそうしたことにむとんちゃくで、全県的な調整が働かない状況で、市町村単位で小規模病院がつくられた。これが東北大学医学部地域医療貢献班のまとめであります。このまとめに対する執行部と
病院事業管理者、前東北大学医学部長の見解をお伺いいたします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) まず、私からお答えをいたします。 今のお話のあったことの背景の一つでございますが、本県では、かつて宮城県厚生農業協同組合連合会というのが開設していた病院を市町村が移管を受けたという経緯もございます。こういった経緯もあって市町村が主体となって病院を運営してきているというところでございます。この結果、現在本県には市町村立の自治体病院が三十一ございますが、このうち二百床以上の病床を持つ病院は、八病院ということでありまして、中小規模の自治体病院が多いということも事実でございます。しかしながら、近年、医療の高度化、専門化が進んできておりまして、個々の自治体病院だけでは医療を完結するということが難しくなっている、こういう状況でございます。そこで、本県では、二次医療圏ごとに医療機関の機能分担、連携を進める拠点となるような地域の中核的な病院の整備を推進をし、地域医療体制の整備に努めているところであります。
○議長(渡辺和喜君)
病院事業管理者久道茂君。
◎
病院事業管理者(久道茂君) 長谷川章議員の御質問にお答えいたします。 東北大学医学部を卒業した医師及び入局者は、現在約九千名が全国・東北地方の医療機関に従事しております。とりわけ、宮城県では医療機関で従事する医師のほとんどが東北大学医局出身者であるということを考えますと、地域医療への貢献は大きなものがあるというふうに考えております。ただし、先ほど指摘されましたように、この貢献というのは医局単位の人的派遣がほとんどでありまして、医学部が組織として地域医療はどうあるべきかということについて取り組んだということは、ほとんどないと言ってもいいのではないかと思います。これは先ほどの医学部が取りまとめたシンポジウムの今回の報告書の中で、大学みずから反省を込めて、むとんちゃくであったというふうなことで指摘しているとおりであります。 また、一昨年来、大学医学部に対する寄附金問題、それから大学院の名義貸しの問題などが起こりまして、大学の社会貢献のあり方、それから地域医療構築への責任の問題が問われるようになりました。大学みずからがえりを正して本気になって対応しなければならない、そういう状況になってきているわけです。 そこで、今回地域医療に関して六つの新しい事業が計画されて、平成十七年度から実施するということになりました。これは県政、これまでなかったことでありますので、恐らくこのようなことであれば、大学も本気になって積極的に対応するものと確信しております。課題は、これからそういう事業をいかに実効あるものにするかということであります。 前職にかかわることでの質問でありました。三期六年の医学部長を務めていながら、これまで大学は何もやってこなかったのではないかというふうなおしかりを受ける感じをいたしますが、当時、大学院重点化という大改革の時期に重なりまして、いろんな理由ありましたけれども、個人的にはじくじたるものがございます。大学の定めによって定年退官をして縁があって宮城県執行部の一員になりました。知事からは、県立病院の管理運営だけでなく、地域医療、特に医師確保についてもやってくれという特命を受けております。微力ではありますが、今後は皆さんの期待に沿えるように努力したいと思っております。ありがとうございます。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 御答弁ありがとうございました。しかし、宮城県はこれまで県立四病院での高度専門医療に特化し、地域医療は自治体に任せてまいりました。現在、三十一病院中二十病院で医師不足、緊急に五十七人が必要、この事態はますます悪化しております。栗駒国保、公立深谷、黒川公立、塩竃市立、相次ぐ医師の退職で病院の体をなさない状態となっております。シンポジウムでは、県も東北大学も体系的、統一的な地域医療政策をとってこなかったことが、今日の医師不足や緊急医療体制の不備をもたらしたと指摘しております。今回の医療健康局長のポスト新設、そして今、久道事業管理者が述べられた医師確保対策事業に初めて一億円余りの予算を投じたということは、これまでの反省に立った上で、宮城県の医療政策が高度専門医療から地域医療の確保へと大きくかじを切った。つまり医療政策の転換と見てよいのかどうか。宮城県はこれから地域医療政策に責任を持つというメッセージととらえてよいのかどうか、執行部の見解をお伺いします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 県の地域医療政策でありますけれども、本県ではこれまで仙台医療圏以外では地域の自治体病院が地域住民の医療に大きな役割を果たしてまいりました。県といたしましても、従来から四次にわたる地域保健医療計画の策定や地域の中核的な病院整備推進事業などにおいて、県内の地域医療体制の整備について一定の役割を果たしてまいりました。しかしながら、医師不足の問題、これに代表されるように、地域医療を取り巻く環境の変化には著しいものがございます。個々の自治体病院のみではこの問題に対応できないといった状況に至っております。そこで、地域医療体制の整備でございますが、これは住民に十分な医療を提供するために、県と市町村が連携して取り組まなければならない緊急の政策課題であると考えております。今回の新しい施策いろいろやっていくということでございますが、これは県が高度先進医療から地域医療に医療政策を大幅に転換したということではございませんで、これは従来の医療政策は基本的に継続しながらも、ニーズの高い分野に重点的な政策的な措置をとっていくということでございまして、そのように御理解をいただきたいと思います。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) わかりました。ぜひニーズの高い地域医療に重点的に予算の投入、体制の整備を強くお願いしておきます。 次に、具体的な自治体病院の医師不足解消のための方法論であります。 二つの報告書がございます。 一つは、ことし一月十二日、厚生労働、総務、文部科学、三省による「地域医療の確保と自治体病院のあり方に関する検討会報告書」であります。自治体病院の医師不足は、依然として続く厳しい環境にある。二次医療圏単位で基幹病院と中小規模病院、診療所に再編するとともに、ネットワーク化を進める。ネットワーク化のための計画策定には、住民のための計画づくりという姿勢。丁寧な住民説明。そして、都道府県が主導的な役割を果たすこととしております。 もう一つの報告書、先ほど申しました去年の七月二十五日、東北大学医学部地域貢献作業班の結論、「これからの地域医療システム」。中核的大規模病院、五百床かそれ以上を整備する。小規模病院を中核的病院のサテライト病院とし、さまざまな医療リソース、検査機器、医師などのネットワーク化、効率化を図る。 要するに、この二つの報告書は全く同じ結論に達しております。病院のネットワーク化、医療資源の一元化、効率化、そして県のリーダーシップ。 そこで、お伺いします。宮城県、これからは県がしっかり指導力を発揮して、二次医療圏ごとの中核病院の整備を進めるべきだと考えますけれども、執行部の見解と決意を伺います。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 今お話ありましたように、医療機関の連携とか機能分担、中核病院の整備、県のリーダーシップ、こういったものがキーワードだろうというふうに思っております。そこで、県といたしましては、宮城県の地域保健医療計画において、各圏域での医療連携の中核となるような公的病院を地域の中核的な病院というふうに位置づけまして、人的な支援、財政的な支援を行いながらその整備を推進をしてきているところでございます。来年度からは、効率的な地域医療システムの構築を目的とした地域医療システム学講座設置事業や地域医療システム検討促進事業を実施することといたしております。こういったことを通じて、県としては指導的な役割を担いながら中核病院を中心とした効率的な地域医療体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 次に、ドクターバンク制度についてであります。 宮城県ドクターバンク事業、新規千三百二十三万四千円。県が地域医療に従事する医師を募集し、地域の自治体病院、診療所に派遣する、一年度当たり五人、総計二十五人。二年間勤務後一年の自主研修期間を設けるなど、医師にとっての魅力のある制度とするとあります。 このドクターバンク制度は、既に長崎、島根、福島で十五年度から実施されております。では実際に医師は確保されているのか。長崎県、平成十五年度、応募一人、採用一人。十六年度応募六人、採用二人。島根県、平成十五年度応募二人、採用二人。十六年度応募一人、採用一人。福島県、平成十五年度応募ゼロ、採用ゼロ。平成十六年度応募一人、採用一人。要するに苦戦しております。 ドクター、プライドが高い、絶対数が少ない、条件が難しい。これをクリアしながら、応募医師数の確保、応募医師の質の確保、そして効果的な広報、宣伝が必要だと、こう思います。県はこの広報のために、新聞広告掲載、説明会の実施、ダイレクトメールの送付を挙げております。しかし、私は、一番大事なのは県内外の医療機関への直接の働きかけがポイントになると思います。宣伝ビラを郵送、送るだけではなくて、担当部局が汗をかく、直接しっかり働きかけをしないと、医師は集まらないと思います。執行部のこの事業成功にかける決意と方策について改めてお伺いいたします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) ドクターバンクの応募者確保について、今御指摘のとおり、大変難しい状況だと思います。我々といたしましても、まず、制度の趣旨、内容を知っていただくということを主眼にやってまいります。ホームページの掲載、それから医事雑誌、新聞への広告の掲載、全国の医科大学への募集協力依頼、こういったことをやりますが、汗をかけというお話でございますので、私どももこれは直接出向いていかなければならないというふうに思っております。特に東北六県の大学、それから東北六県の臨床研修病院に指定されているような大規模病院については、実際に現地に出向いてまいりまして、そこで説明会を開催をするなどの方法できめ細かく募集活動を行ってまいりたいと考えております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 次に、地域医療システム講座であります。 地域医療システム学講座設置事業、新規四百万円、東北大学大学院医学系研究科に地域医療システム学講座を寄附により設置する。地域医療システムに関する研究や医療機関のネットワークについての研究を行い、その成果は本県の医師確保に還元される。各年度四百万円、総額一億二千万円。この講座開設のねらいは、県内の二次医療圏ごとに、中核病院を中心にしたサテライト病院とのネットワーク化を進め、医療資源の一元化、効率的な運用を図る。そのための理論的な裏づけを構築し、県として地域医療確保の施策を進める。この地域医療システム学講座設置のねらいは、以上のような解釈でよいのかどうか、執行部の考え方をお聞きします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 今、地域医療システム学講座の予算額は、四百万でなくて四千万円でございますので。 そのような予算で実施をいたしますけども、これは、地域住民や医療機関が納得できるという形で地域医療システムを構築していきたいと。そのためには、やはり理論的な根拠が必要だということで、こういったような講座を設けたいというふうに考えております。 東北大学では、昨年から地域医療に目を向けておりまして、地域医療問題検討委員会、地域医療支援機関の設置ということを行っております。来年度からは、東北大学で地域医療教育支援センター事業というのも実施予定と伺っております。こういったように一連の改革というのがなされております。そういった中で、東北大学からも研究協力ということで申し出がございました。その申し出を受けまして、県としては事業の実施を決めたものでございます。実際に医師を配置する大学に、地域医療システムの研究を依頼するということになるわけでございますので、これは最も望ましい形態ではないかというふうに考えております。こういったことを通じて、研究で得られた成果を本県の地域医療システムの確立に確実に結びつけてまいりたいと考えております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 今、知事からも御指摘のあったとおり、一年間で四千万円、三年間で一億二千万円、大学にぽんと寄附する。県費の投入であります。それでは、大学側が本当に真剣に宮城県の地域医療システムのための研究をしているかどうか、県としてもきちっと検証する必要、責務があると思います。チェック体制についてはどう考えているのか、執行部の見解を伺います。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) この講座を設置するに当たってですね、大学と県で協定書を締結をいたします。この協定書の中で、毎年度大学から研究成果を県に御報告いただくということも盛り込んでまいります。また、実務的なことで申しますと、大学での担当研究責任者が決まり次第、研究の細目、年度スケジュール、こういったことについて県との間で詳細に打ち合わせをしていくことにしております。 これは本県が設置する寄附講座でありますので、この報告も、年に一回だけというわけにはまいらないと考えております。県と連携した研究内容であるようにということで、随時、県から協議をさせていただきたいと思っておりますし、逆に大学から情報提供の御依頼もあろうかと思います。そういった要請にもこたえていきたいと思います。 県といたしましては、大学から定期的な御報告をいただくということでありますが、それに加えて、随時、研究者との情報交換を通じて、研究の進捗状況について確認を行ってまいりたいと考えております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) もう一点、医師の地元枠の確保でございます。 東北大学医学部、
病院事業管理者の御指摘のとおり、医学界には大変な影響力のある、権威のある大学でございます。毎年百人の医学部卒業生を出しております。宮城県が初めて年四千万円、向こう三年間で一億二千万円を東北大学医学部研究科に寄附するわけでございます。協定書を結びます。その際に、東北大学医学部百人の卒業生のうち五人、宮城県の地元枠として確保することを検討していただけるように提案してはどうか、こう考えます。もちろん東北大学医学部は宮城県だけの大学ではなくて、東北全体、日本じゅうから学生が来ておりますけれども、まず宮城県で東北大学医学部の卒業生のうち五人、地元枠として提供いただける体制を組めるかどうか、御検討をお願いしてはどうかと考えますが、執行部の見解をお伺いします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) これは大学の入試でありますから、基本的には大学自身の判断というところが大きいものでございます。全国でも例はございます。八大学と伺っておりますが、その県内出身者の推薦入学枠というのを設定しているということでございます。東北大学医学部では、現在のところ、この推薦入試という自体行っておりません。ですから、当然ながら推薦入学枠というのもないものでございます。 今後どうするかということでございますが、これからでございますが、大学の地域医療に従事する医師をどうやって育成していくのかという育成方針などについても、まだ明確でございません。こういった考え方も伺った上で、大学に対して要請していくかどうかも含めて、よく検討していかなければならないと考えております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 次に、市町村合併に伴う権限の移譲と地方振興事務所の再編統合についてであります。 県のプランによりますと、今後の課題として、市町村合併、権限の移譲の進捗状況を踏まえた広域行政圏、地方機関の見直し、市町村合併に伴う補完的機能の縮小の見直しを踏まえ、広域行政圏を見直すとともに、県内各地域の地方機関の再編整備を図る必要があるとしております。 この四月から来年にかけて、石巻十七万、大崎十四万、登米九万、栗原八万、県北の中核都市が続々と誕生いたします。いずれも地方振興事務所単位の広域行政圏であります。そこで、地方振興事務所の土地建物、これについては新しい市に譲渡して、将来の市庁舎として使用していただくように、また、この地域の県職員については、希望を募った上で新しい市の職員として採用し御活躍いただく、こういう方向で新年度、新市の執行部が誕生と同時に執行部と協議に入るべきだと考えますが、いかがでしょうか。 地域の問題は地域で解決する。地域分権の観点から、県の庁舎や職員を地域に帰す。地方分権のリーダー浅野県政の目玉として推し進めるべきだと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) まず、地方機関の問題でございますけども、地方機関の統廃合、再編整備、これも検討していくことが必要だろうというふうに思っておりますが、いろいろな要件がございます。県から市町村への権限移譲の状況というのがどうなるか、それから、合併した市町の組織体制、機能がどうなるか、こういったことを考慮する必要があろうと思います。 県の事務事業ございますけども、そのうち総合調整的な機能を持つような事務、こういったものは集約可能だろうと考えられますけども、例えば、県民相談とかパスポート、それから道路占用などの許認可、それからインフラ整備、防災対策、こういったものは、県民生活に直接的な影響を及ぼすことになるような事務でございますので、場所としては住民の身近なところ、そこで対応するというのが望ましいと考えております。 こういったように、個々の事務事業の性格によって集約できるもの、また、それよりも身近に事務所を配置しておくべきもの、この辺のところ十分整理、検討していく必要があろうと思っております。それからまた、合併した市町からの御意見、県民の方々からの御意見、こういったものもちょうだいした上で考えていく必要があると思います。そういった状況を踏まえながら、県の役割をしっかりと果たすことのできる地方機関のあり方を検討してまいります。 県の合同庁舎を新市に譲渡してはどうかということでございますが、具体的な話として、現在そういうような御要請というのはございません。当然、県の合同庁舎についても地方機関の再編整備に連動するものであります。また、地元の自治体の御意向というものも踏まえる必要がありますので、これも地方機関のあり方にあわせて検討していくべきものと思います。 それから、職員の問題でございますけども、新市出身の県職員、戻すというんですかね、その新市に勤務を希望するような職員については、新しい市の職員として採用できるようにしたらどうかということでございますけども、もちろん、それは新市の側で県職員が欲しいと、採用したいということが前提になろうかと思います。現在のところ、そういう要請はございません。 また、市の方で権限がどうなるかということでございますけども、法令に基づいて新市に権限移譲されるという項目は限られております。したがって、新市側の希望によって、今度県の権限、こういったものもやりたいと、事務事業もこういったものもやりたいということが、今後どういった内容になるか、この点も見きわめる必要があると思います。更に言えば、合併によって、新市はむしろスリムで効率的な行政運営を目指すということもあるわけでございまして、むしろ発足直後は職員はたくさん集まってきます。そこから計画的に職員数のむしろ削減という方向に行くことになろうというふうに考えております。 今申し上げたようなことを考えますと、現在のところ、新市に対してどうだと、県の職員を採用しませんかというようなことを働きかけるような状況ではないのではないかというふうに考えております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 知事、私は、知事がこういうふうにしたい、するべきでないかという県側の積極的なビジョンを示すべきだと言ってるんです。栗原郡も今、町村職員千四、五百います。地方自治法では七百人まで向こう十年間減らさなきゃいけない。スリム化するんです。すぐに県職員を大量にね、とる体制にないんです。ただ、私が言ってるのは、県として優秀な職員で、しかも地元に帰りたいという職員、これについては、将来的に新市と協議した上で、しっかり地元で活躍していただきたいという気持ちが県側にあるかどうかを示したらどうかと言ってるんです。これは、これ以上は僕は総務企画委員会で議論しますから、結構です。 今の点だけ、もう一点だけ。県のビジョンを、前向きなビジョンがあるかどうかを一点だけ確認しときます。知事どうぞ。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 今、私申し上げましたのは、今のこの状況ということで申し上げましたが、将来にわたってそういうような方向も考えるべきだと、それはそのとおりだと思っております。具体的な状況に応じて対応したいと思います。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 前向きな御検討お願いします。 次に、浅野県政への評価であります。 浅野知事は、平成五年十月から当選三回、三期目の任期もあと半年となっております。私は平成七年四月から当選三回で、県会議員として十年になろうとしております。私も当選以来、浅野県政と向き合い、議論をしてまいりました。改めて、浅野県政に対する私自身の判断、評価を示した上で、知事の見解を求めます。 官官接待の廃止、情報公開の徹底、こども病院の建設、評価いたします。これは、浅野知事しかできなかったし、やれなかったと思います。特に、こども病院の建設については、議会内に慎重論があり、私も本会議で自重を求めた議論をした経緯がございます。 しかし、産業の振興、財政の再建、県立高校生の雇用、学力向上対策、そして、今までの地域医療の確保対策、評価できません。浅野県政は、経済、財政、教育、そして福祉の原点である医療政策については、県政の実、成果は上がっていないと考えております。各種指標は、横ばいというよりも、悪化傾向を示しております。 改めて、私自身の浅野県政への評価についての知事の見解、反論をお聞きしたいと思います。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) これは、なかなかこういう場では難しいかなと思いながらですね、今評価しないと言われたものについても、私とすれば最大限努力をし、成果上げ得たと思っておりますが、そうすると、ちょっと水かけ論もあるかもしれません。私の主観だけではありませんから、決してサボったということではありませんが、結果でということであれば、その結果について満足できるかどうかという御判断はまた、議員御自身のものだろうというふうに思っております。 したがって、個別のものについて、これはこんなもんだという、改めてこちらが胸を張る、個々のものについて挙げるつもりはございません。ただ、今のような厳しい見方もあるということは、私も認識をしております。したがって、それについても、今厳しい財政状況の中でありますが、できる限りのことをやっていくということで、これについて、むしろ今挙げられたような項目についても、いろいろなデータから、満足しているわけじゃございませんので、これについて更なる努力をしていくべきものだということは、十分に認識をさせていただいております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 浅野県政の本質であります浅野知事の実績としては、官官接待の廃止、情報公開の徹底、税のむだ遣いをなくす、県政を県民に開いたものにする、情報公開の浅野、有名であります。しかし、これは納税者にとっては民主主義の基本であり、当たり前の話であります。 県警報償費問題も同じことであります。浅野知事は、県民代表の知事が納得ができなければ予算はつけられない、繰り返し答弁しております。県民から見れば当たり前の話であります。捜査の機密以前の問題だと思います。県警は、知事と議会が納得できる根拠を示せばよいのであります。 結局、浅野県政の本質は、現在の制度、政治・行政を現在の政治、組織、機構の公開、現在の行政を県民に開かれたものにする行政の透明性の向上にあると思います。一方、政策をつくり上げ粘り強く実施していく、創造ではないと思います。言いかえれば、県民生活の具体的な向上策、見るべき個別具体策が乏しいために、県政の成果が上がらない。執行者にとって最も大切な県民生活向上のための創造の論理、県政運営の基本理念、哲学がないために一向に県政の実が上がらない。つまり、浅野県政は、公開の論理はあっても、創造の論理がないために成果が上がらないと思うのですが、いかがでしょうか。知事の見解をお伺いします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 県政の成果が上がらない、上がっていないという、これは私にとっては大変厳しい御指摘でありますので、真摯に受けとめたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、私も創造というか前向きな政策を実行していきたいというふうに思っておりますが、結果としてどうなんだということで、その期待に沿ったようなところにいってない、そういう御指摘は真摯に受けとめたいと思います。 ただ、公開ということについては、むしろ評価を受けましたけども、そのことと成果を上げるということは、これはもちろん相矛盾しないわけでありますので、例えば、情報公開とか官官接待の廃止なんてのは、事象としてちょっと目立つもんですから何となく評価を受けやすいというのはありますが、それはそれとして、具体的な県政の成果、創造という意味での成果、これをしっかりやれという御指摘、これは叱咤激励だというふうに受けとめておりますが、これについては、そのとおり真摯に受けとめて、まだまだ努力の足らない分については、これから残された任期でございますけども、真摯に一生懸命やっていかなければならないと思っております。そのような御指摘として受けとめさせていただきました。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 浅野県政三期、あと数カ月となっております。総仕上げの時期に入ったということでございます。 お聞きします。残り期間、これだけはぜひやり遂げたい、その政策、事業は何なのか、知事にお伺いいたします。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) これだけはやり遂げたいということはたくさんありますし、挙げると、逆に、残ったやつはどうでもいいのかと言われかねないので、なかなか言いにくい部分もございますが、大きなものでいけば、やはり財政再建の見通しをつける。これはもちろん、前向きなことではなくて、破産しないようになどという後ろ向きのように聞こえますけども、しかし、これは最低限の県政運営の条件だというふうに思っております。その中で、緊急経済産業再生戦略というのが、最終年度でまさに締めの年にかかりますので、これはまさにやり遂げなければならない、これはもう表明している部分でございます。その他ございますけども、どうしてもそれは任期ということで切られた中では、まだ志半ばというものもあろうかと思いますけども、ともかく、その方向性ということだけはしっかりつけていきたい。これは、どれというふうにとって申し上げるべきものではないと思っておりますので挙げませんけども、ともかく方向性はしっかりと示していくべく、最後の努力をさせていただきたいと思っております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 全国知事会であります。 浅野知事は、県政の成果が県民にはっきり目に見える形で示せる、県政の実が上がるまでは全国知事会に出席する必要はないと思います。だれでも言うような一般論、公式論はしゃべるのをやめた、宮城に張りついて県民のために頑張る、こういう姿勢を示せば、浅野もやっと一番大切なことに気づいたかと、知事の評価は一気に上がると思います。知事の見解を伺います。
○議長(渡辺和喜君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 御指摘の趣旨は大変よく受けとめました。しっかり成果が上がるように、まだまだ努力が足らないじゃないかと、余計な時間使っているのか、余計なところに精力を費やしてんではないかという御指摘だとすれば、厳しいですけども、そのとおりかと思います。もうちょっと休みをとるなとか、長い時間働け、しかし、ぎりぎりやらなければなりませんが。ただ、それが、知事会が一番時間とか精力とられている元凶かというのは、若干、これは少し合わないところがございますので、現実にも、知事会にとられている時間、精力というのはそれほどではございません。月に一回あるかないかということでございます。大変な時期には、確かに月に三、四回ということもありましたけども、通常は月に一回あるかどうかということでございますし、また、知事会で他の知事に会って、協議をする、それからまた、いろんなことを教わる、情報交換、連携ということもありますので、これは必要なものだと思っております。そこでとられる時間をどっかで別に一生懸命見出していかなければならないという御指摘だとすれば、それはそのように、時間の使い方、精力の使い方ということを考えなければならないと思っております。
○議長(渡辺和喜君) 四十九番長谷川章君。
◆四十九番(長谷川章君) 浅野知事、最後です。 一問一答方式で厳しいことを申し上げました。私は、浅野知事は、少なくとも県知事の立場、権力を利用して私利私欲は肥やさない、公人としての倫理はしっかり守るということは、高く評価しております。 御答弁ありがとうございました。 以上で終わります。
○議長(渡辺和喜君) 暫時休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩
----------------------------------- 午後一時一分再開
○副議長(石橋信勝君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十一番
菊地健次郎君。 〔四十一番
菊地健次郎君登壇〕
◆四十一番(
菊地健次郎君) ただいま議長からお許しをいただきましたので、私の質問をさせていただきます。 私の質問は、まず初めに、地震・津波対策についてであります。 「天災は忘れたころにやってくる」ではなくて「忘れなくてもやってくる」ようになったのが現実となりました。中越地震、そして昨年末のスマトラ沖地震と、対岸の火事と言える状況ではありません。被災された皆様には、衷心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々には、心から哀悼の意を表したいと思います。 東北大学の災害制御研究センターの今村文彦教授は、スマトラ級同様の大規模な津波災害が日本でも起きる可能性を指摘し、警戒を怠らないよう呼びかけました。その一つは、東海・東南海・南海地震が同時発生した場合で、一七〇七年の宝永地震がこれであったとされております。もう一つは、北海道沖から三陸沖、福島・茨城沖の震源域が一気に動く場合で、これは西暦八六九年の貞観津波で、今村教授は、ハルマゲドン地震と思われると指摘されております。 平成六年九月三十日、仙台市長と宮城県知事あてに一通の陳情書が提出されました。陳情趣旨には、これから仙台地方に起こり得ると考えられる津波襲来に対処するための津波防災のさまざまな対策が早急に実施されますよう陳情しますと記されております。これは、「仙台平野の歴史津波」と題し「巨大津波が仙台平野を襲う!」と副題をつけた本を出版された、宮城野区在住の歴史研究家の飯沼勇義さんと、その挿絵をかかれた太白区在住の佐藤俊光さん連名によるものであります。この本に書かれた平成四年版理科年表では、有史以来日本を襲った津波のうち、海岸部での最高波高が五メーター以上として記録されているものは約四十件で、この中でも三十メーター以上という巨大津波は八回あります。この八回のうち、東北の三陸沿岸又は仙台沿岸を襲ったものは、西暦八六九年の貞観津波、一六一一年の慶長津波、一八九六年の明治三陸津波、一九三三年の昭和三陸津波、更には一九六〇年のチリ地震津波で、日本で発生した巨大津波の半数以上をこの両地域で占めております。 飯沼勇義さんの「仙台平野の歴史津波」では、貞観、慶長、両津波の浸水地域として、北は利府の新幹線基地から岩切、榴ケ岡、長町、愛島、そして東北本線と常磐線の分岐点まで、海岸線から遠いところで実に九キロメートルにも及んでいるのが理解できます。これが現実となったらと考えますと、ぞっとする思いがいたします。 これらの津波に対し、今般、緊急経済産業再生戦略で対策を強化されようとしておりますが、防潮堤や防潮林、そして避難場所の確保など、平野部では特に再検討しなければならないと思いますが、いかがでしょうか。 また、日本海溝、千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進特別措置法が、ことし秋に施行されます。これとのかかわり及び期待、そして、スマトラ沖地震での教訓をどのように生かされるのか、お伺いいたします。 インド洋大津波で、スリランカの被災地等調査した東北大学の今村教授は、津波の瞬間的圧力は一平方メートル当たり十八トン、四トントラックが時速三十キロから四十キロで衝突するのと等しい衝撃になると試算しております。ですから、バスも列車もひとたまりもなかったこともうなずけます。今村教授は、津波が巨大化した理由として、まるでレンズで光を集めるように津波が巨大化するレンズ効果が起きたのではないかと分析されました。これは、津波が海を進むとき、浅い海域ではブレーキがかかって遅くなり、深い海域では速く進み、深い方から浅い方へと津波のエネルギーが集中しレンズ効果となるんだそうであります。ですから、海底の地形を初めとした地域環境の詳細情報をデータベース化し、防災の基礎データの精度を上げておく必要があると強く指摘をされております。 宮城県沿岸の海底の地形調査はされておられるかと思いますが、それを精査し、レンズ効果が起きる場所を選定し、具体的な被災シナリオや減災対策を早急に打ち立てるべきと存じますが、いかがでしょうか。 また、県内には海岸に近いところを走る気仙沼線、仙石線、東北本線、常磐線があります。地震が起きたら停車するかどうかの判断や連絡網はできているかと思いますが、津波があった場合にとめてよい場所なのかどうかも判断できるよう、常日ごろからその地域の特性を運転手の方に理解できるよう指示し、緊急連絡できるよう配慮しておかなければならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 この件に関し、マスコミ報道では、国土交通省は二月二十四日、地震が起き、津波の発生が予想された場合、浸水地域内の携帯電話などに瞬時に伝えるシステムを導入する方針を固めたようであります。 昨年、消防庁は、海岸を抱える九百六十八市町村の津波対策への取り組みを調査しました。宮城県では対象が二十三市町ありますが、以下、我が県での取り組み状況を述べますと、まず、津波発生時の情報伝達体制や避難場所、高齢者らの保護などを盛り込んだ津波避難計画をつくっているのは本吉町のみで、ほかはなし、避難対象地域の指定率は八市町七十五地区で、ほかは準備不足という状況です。避難場所の指定については、十九市町で指定済み、二町では一部指定、残る石巻市、鳴瀬町では未指定となっております。津波避難路の指定では、唐桑町全域で指定済み、本吉町の一部でも指定があり、ほかの二十一市町は未指定となっております。スマトラ沖の大津波が風化しないうちに、これらの取り組みに万全を期すべきと考えます。これらに対する対応策をどう図られるのか、お伺いいたします。 昨年十月二十三日、新潟中越地震が発生しました。そのとき厚生労働省が、広域災害救急医療システム参加病院約五百五十施設に対して、けが人の搬送などに備えて情報入力を要請し、それに対応したのは二〇%だったのが判明いたしました。我が宮城県では、十月二十三日がこの宮城県の参加病院の十二病院中五病院で四一・七%、次の十月二十四日は三病院で二五%という現状です。対応したのは災害拠点病院で、大地震などの災害発生時に二十四時間体制で傷病者を受け入れる拠点として都道府県が指定した病院であります。当日は土曜日、そして日曜日だったこともありますが、この現状はどうしたことでしょうか。 また、この宮城県の災害拠点病院で建物の耐震構造となっているのは六病院で、ほかは、耐震補強工事を検討中とか、新築を予定中となっております。この病院中、食料の備蓄倉庫があるのは五病院で、ほかは今年度中に県補助金で整備する予定となっております。これらの現況をどのように分析し、対応されようとしておるのか、お伺いいたします。 昨年暮れのスマトラ沖の大津波の折、イギリス人の十歳になるティリー・スミスという女の子が、タイのプーケットで、津波の襲来を知らせ百人の命を救ったとの報道がありました。彼女は、
クリスマスの二週間前、地理の授業で津波がどのようにして起きるかを勉強し、潮が異常に速く引いていく様子から、津波の襲来を覚知し、周囲にそれを告げたそうであります。 この事例からも防災教育の大切さが理解できますが、松島町では、消防庁主催の防災まちづくり大賞で、消防科学総合センター理事長賞を授与され、また、本年一月八日の子ども防災甲子園では、松島中学校が優秀賞を受賞いたしました。このコンセプトは、自分たちの町は自分たちで守ろうということであり、松島町では、それを子供のときから育てようという試みであると私は思います。この松島中の受賞は、学校で学んだ木造住宅の簡易耐震診断の学習グループ「きんとうん」をつくり、この「きんとうん」とは、孫悟空が乗る雲の名前だそうで、この子供たちが地域で活動することにより、大人たちも意識が高まり、自主防災組織づくりも高まっていっているようであります。 松島町では、平成十六年度より、世代継続する地震に強いまちづくりに取り組み、十七年度からは、小学校一年生から中学校三年生までの全義務教育課程で授業を義務づけ、「まつしま防災の時間」として統一しようとしております。阪神大震災では、死因は圧死が大半でした。まずは「我が家が大丈夫」から減災は可能で、そのためにも耐震診断、そして改修は必要です。しかし、県が行っているこの診断及び改修が予定どおりいかないように、その普及は容易ではありません。松島町の指導に携わった東北工業大学の田中礼治教授は、私に、子供たちから地域へ、そして町全体へと話されておりました。これらの活動に対し、知事及び教育長のお考えをお伺いいたしますとともに、さきのイギリス人の子供を引き合いに出しましたが、義務教育課程の中で、来るべく宮城県沖地震に備え防災教育を取り入れるべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 厚生労働省は、昨年暮れに、大地震などの発生直後に被災現場に駆けつけて負傷者を治療する特殊訓練を受けた災害派遣医療チーム、いわゆるアメリカ版DMATですが、それを二百チーム程度、全国の病院に緊急配備することを決めました。これは、被災地の医療機関では対応し切れない負傷者の治療を現場で支援するものであります。今般の補正予算でチーム体制整備に必要な助成を行うようですが、宮城県でのこれへの対応と、自衛隊には移動手術室が東北に二台配備されておりますが、これとの連携をどのように図られるのか、お伺いいたします。 次に、教育の諸問題についてお伺いいたします。 作家の新田次郎さんの次男でお茶の水女子大学理学部教授の藤原正彦さんは、二年前に「祖国とは国語」という本をあらわしました。数学者である藤原先生は、国語教育絶対論を唱えられ、教育を立て直すこと以外に、この国を立て直すことは無理である。国家の浮沈は、小学校の国語にかかっていると思える。情報を伝達する上で、読む、書く、話す、聞くが最重要なのは論を待たない。それ以上に重大なのは、国語が思考そのものと深くかかわっていることである。言語は、思考した結果を表現する道具にとどまらない。言語を用いて思考するという面がある。日本人は、数学ではすぐれているのに、論理的思考や表現には概して弱い。論理を育てるには、数学より、筋道を立てて表現する技術の習得が大切であり、これは国語を通して学ぶのがよいとし、そして、祖国とは国語であるのは、国語の中に祖国を祖国たらしめる文化、伝統、情緒などの大部分が包含されているからであるとし、家族愛、郷土愛、祖国愛、人類愛もぜひ育てておかなければならない。どれ一つ欠けても、国際社会では一人前とみなされない。地球市民などという人間は世界では通用しないとも言い切っております。また、祖国愛は、祖国の文化、伝統、自然などをこよなく愛する意味で、英語では、自国の国益ばかりを追求する主義はナショナリズムと言い、ここで言う祖国愛、ペイトリオティズムと峻別されるとし、現在の政治、経済、外交における困難の大半は、祖国愛の欠如に帰着すると言ってさして過言ではないと述べております。 「祖国とは国語」とは、フランスのシオランという人の言葉だそうですが、数学者である藤原先生のこの国語教育絶対論と祖国愛に対して、みやぎらしい教育と照らし合わせながら、浅野知事の考え方をその教育論的立場からお示しいただきたいと考えます。 経済開発機構(OECD)が二〇〇三年、四十カ国で十五歳を対象にした生徒の学習到達度調査で、日本の高校一年生は、読解力が二〇〇〇年調査の八位から十四位に、数学的応用力も一位から六位に下がったと昨年暮れに大きく報道されました。文章を読み取る読解力は前回より二十四点低く、OECD平均と同程度だそうであります。 この対象となった高校一年生が小学五年生のとき、学習指導要領が変わり、週当たりの授業時間数では、五年生で国語が六時間から五・一時間、算数で五時間から四・三時間に減らされました。以後、子供たちが小学校六年から中学校三年までの四年間を週単位で以前と比較すると、国語では十九時間対十五時間、算数・数学は十六時間対十三・三時間、時間差で、国語は週四時間、算数・数学は週二・七時間となります。週単位でこれだけの時間差がありますので、年単位ではどれほどになるかお示しいただきたいと思いますが、これだけ授業時数が減らされれば、学力が落ち込むのは当たり前です。文部科学省も、さすがに学力の低下を認め、中山文部科学大臣は、本年二月十五日、ゆとり教育を掲げた学習指導要領の全面的な見直しを中央教育審議会に要請しました。 藤原先生の「祖国とは国語」を引用するまでもありませんが、まさに国語力の低下が目に余ります。これらの是正に向けて、東京都小金井市では、学生ボランティアが補習授業などをサポートし、中学二年生では五教科で都内トップの成績を上げており、和歌山県
教育委員会では、「すべての教科の基礎は国語力」と銘打ち、中学校の国語教諭を小学校に異動させ、国語の専科教員とする試みを来年度から始める方針を決めました。 OECDの調査についての我が県での現状分析と基礎学力向上につきまして、知事及び教育長の御見識及び打開策をお伺いいたします。 東京都
教育委員会は、すべての都立高校で平成十九年度から奉仕活動を必修科目とする方針を決めました。十七年度からは、研究指定校二十校で単位認定について検討し、年間三十五時間を必修として、これを取得しないと卒業できなくなります。これに関して作家の曽野綾子さんは、日本の教育には今まで常識が欠けていて、それを社会が容認していたのである。人間は、他人との関係において、受けもすれば、与えもするというのが健全な姿だ。戦後教育は、受ける技術のみを重視して、与えることの光栄を現実には無視してきた。今度は、それを両方向に向け、受けもすれば与えもする行為と感情の豊かさを与えることになったと論じております。 この奉仕活動は、都道府県立高校で必修にするのは初めてであり、以前から、学習指導要領では奉仕活動を各学校の工夫によって行うよう定めており、宮城県では平成十七年度から十三歳の社会へのかけ橋づくり事業を始められますが、現在の県内の小中学校及び高校の現状をお示しください。 また、曽野さんに言わせれば、なぜ奉仕活動を義務づけてでも教えようとするのか、それは、高校生たちを大人にするためであると言い切っております。この奉仕活動の義務化については、私も賛同いたしますが、知事及び教育長の考え方と今後の方向性をお伺いいたします。 私は、小学校の運動会と入学式や卒業式に毎年行っております。いつのころからでしょうか、運動会で男子も女子も一緒に徒競走をやり、入学式、卒業式では男女混合名簿でとなってしまいました。ちなみに、平成十六年、県内では、出席簿では小学校が八〇・三%、中学校で三七・一%が混合名簿となっております。私は、男女共同参画社会を否定するつもりは全くありませんが、ジェンダーフリー、これきわまれりという感じがいたしますのは私だけでしょうか。 「男女七歳にして席を同うせず」ということわざがあります。出典は五経の一つ礼記だそうですが、男と女の生き方の違い、まさにジェンダーを、その違いをまざまざと感じさせながら育てる。何千年にもわたるいにしえ人の生活体験を教示してくれたものと思います。 少子化によって女性が社会に進出する機会もふえました。女性が男性とともに夜遅くまで仕事をする場面も多々あります。それで子供は保育所へでは、子供がかわいそうです。母性愛とはどこから来た言葉なのでしょうか。むしろ、女性は女性であることに誇りを持ってもらいたいし、母性愛を社会でも、家庭でも十二分に発揮してもらいたいと思います。そのためには、小学生時代から、男として、女としての違いを理解させる教育の方がより自然であり、混合名簿などとはなり得ないのではないでしょうか。やはり東京都では、混合名簿廃止の方向で検討していると仄聞しておりますが、知事及び教育長のお考えをお示しください。 このたびの県議会開会日の冒頭に、県立高校一律共学化反対の請願書の採択が決定されました。私もこの採択に賛成した一人であります。なぜか。それは、もっと関係者各位が時間を十二分にかけて考えてもらいたいと思ったからでありますし、私もそうでありましたが、宮城県人には、何十年にもわたって伝統校に対する憧憬、あこがれがありました。勉学を志す者にとって、この憧憬は大切です。だからこそ挑戦したくもなるものであります。その背景には、先輩たちが営々と残されてきた伝統や校風がさん然と輝き、自分もその仲間に入りたいという熱望に駆られるからであります。知事や教育長も当時はあったと思いますが、いかがですか。 また、みやぎらしい教育とは、日本全国どの都道府県でもやっていない、横並びではない、宮城県発の別学も守った方が、みやぎらしさをより発揮できると思いませんか。きのう、教育長は、共学化はこれ以上延期しないと申されましたが、このこともお二人にお伺いいたします。 ところで、共学にはしたけれど、結果的に生徒が男子だけ、女子だけとなった学校が、山形県に三校、山形南は男子、山形西・北が女子、岩手県に二校、盛岡二高と黒沢尻高校であります。また、埼玉県では、別学校は県民の深い支持があるとし別学のまま残しました。また、昨年十一月、「共学化、その先に目指すもの」との研究会が仙台であり、その中で福島市の橘高校、旧福島女子高の角田先生は、共学化過程の問題点として、一つには、旧女子校に一方的に犠牲と負担を強いたことと、優秀な女子生徒が男子校に流れ、旧男子校が上位、旧女子校はその次という序列化が起きたとの二点を挙げられました。この分析も、今後一年間の延長の中で十二分に研究され、その成果が公表されなければならないと思いますが、いかがでしょうか。 台湾の前総統・李登輝氏は、ことしの一月二日に七日間の訪日日程を終え帰国されました。日本に滞在されていた折に何度となく口に出された言葉は、日本人の哲学と秩序だったそうです。李氏は、京都帝国大学を卒業された方ですが、進歩の中でも伝統が失われていない日本の社会を強く感じたとか、日本人の考え方が台湾の国づくりに役立つことに改めて気づいた。日本のような国、秩序がいいという言葉を残され、帰国の途につかれました。この言葉に、日本人として逆に面映ゆい気がしますが、この言葉を聞いたとき、私は、あのトム・クルーズ演じる「ラストサムライ」の映画を思い出しました。これは、明治時代が始まったときの近代兵士と侍との戦いを描いたもので、侍の心を日本人は忘れていないかと言いたげな作品でありました。これらは、日本人が日本人たるゆえん、その生きざまを逆に外国の方々から教わっているような気がいたします。 「祖国とは国語」での原点をもう一度日本人として考え直すべきと考えますが、知事のこれらに対してのお考えがあれば、お示しいただきたいと思います。 以上で、私の質問を終了させていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君)
菊地健次郎議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、地震及び津波対策でありますけれども、平野部の防潮堤、防潮林、津波避難場所の確保についてであります。 チリ地震津波の災害を教訓として、津波を考慮した防潮堤の整備を実施するとともに、防潮林を計画的に整備してまいりました。また、インド洋大津波においても、海岸施設、防潮堤やヤシの木やマングローブなど、植生による津波の減衰効果が確認されておりまして、これにより多くの人命が救われたという事例も報告されております。こういった事実を踏まえまして、防潮堤の安全性や防潮林の現状を再点検して、適正な管理に努めてまいります。 また、県では、津波浸水域予測図により、危険な避難所の点検を行うなど、沿岸市町とともに、安全な避難場所の確保について努めているところであります。 次に、いわゆる特措法とのかかわり及び期待についてでありますけれども、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法でありますけども、この法律では、著しい地震被害が生ずるおそれがあり、地震防災対策を推進する必要がある地域を推進地域として指定し、推進地域を対象に、国、都道府県及び市町村の各防災会議や関連事業者が、津波からの防護及び円滑な避難の確保に関する計画を作成することが定められております。また、国では、地震観測施設や地震防災上緊急に整備すべき施設の整備に努めるとともに、地震防災対策の推進のために必要な財政上及び金融上の配慮をするものとされております。この法律の施行に伴い、住民意識の高揚と施設整備の進展による津波対策の充実強化が図られることを期待をいたしております。 さきのスマトラ沖地震の教訓の活用についてでありますけれども、この地震に起因するインド洋大津波では、津波情報伝達や防潮堤など、海岸施設の整備不足、また、津波避難に関する認識不足、観光客や外来者の津波避難誘導、こういったことが課題として挙げられております。こういった事態に備えて、県では、これまでも情報収集伝達の強化、防潮水門、陸こうの耐震化や遠隔化などによる施設整備、また、津波防災教育の充実に努めておりますが、その教訓を踏まえ、更に各事業を充実させてまいります。 更に、平成十七年度新規事業で津波避難誘導看板設置事業を実施し、地元住民のみならず、観光客や釣り人などの円滑な津波避難誘導を支援してまいります。 次に、津波による被害想定でありますけれども、平成十六年二月に公表した宮城県第三次地震被害想定調査の中では、宮城県沖地震、昭和三陸地震での津波の浸水域予測図を五十メートルメッシュで作成いたしました。この基礎的データの一つには、海底の地形条件も加味して、いわゆるレンズ効果や地形効果を考慮した津波浸水域予測図となっております。地形効果により、気仙沼湾や志津川湾の一部では、津波が高くなっているところであります。 この浸水域予測図を、国、沿岸市町、地元自治会でも活用して減災対策を行っております。例えば、国土交通省では、国道四十五号上の想定される津波浸水域に監視カメラや道路情報板を整備して、道路の通行規制や津波情報を提供する計画が始まっております。また、沿岸市町の自治会などでは、地域の特性を踏まえた住民参加型津波避難マップの作成が行われております。今後も減災対策を目指したさまざまな活用を推進してまいります。 津波発生時の列車との連絡体制についてでありますけれども、JR東日本では、地震や津波への対応を含めた災害マニュアルを策定しております。津波警報発令時における列車の進入禁止区間の設定や指令室から乗務員への無線による一斉指示、乗客の避難誘導など、所要の安全対策を講じていると承知をしております。県といたしましても、津波発生時における乗客の安全確保について、国やJR東日本など関係機関と必要な情報交換を行ってまいります。 津波避難対策についてでありますけれども、県では、沿岸二十三市町及び関係機関の参加による宮城県津波対策連絡協議会を平成十四年十月に組織をして、平成十五年十二月に宮城県津波対策ガイドラインを作成いたしました。この中で、沿岸市町の津波避難計画や地域住民による地域ごとの津波避難計画の策定など、津波避難対策の促進を図っております。 また、スマトラ沖地震によるインド洋津波の教訓も、先週、二十四日に、津波対策連絡協議会を開催して、スリランカを調査した東北大学の今村文彦教授やタイを調査した土木学会員から報告をいただきまして、現地調査で得られた教訓や課題などを共有化したところであります。 今後も、引き続き津波対策連絡協議会を中心に、住民参加型防災マップづくりや津波避難誘導看板の設置などの支援により、沿岸市町の津波避難対策を強力に推進してまいります。 広域災害救急医療情報システムについてでありますけれども、震災など大規模な災害に対し、都道府県の枠を超えた広域的な災害医療活動を行うため国が整備しており、本県でも各災害拠点病院に配備しております。 新潟県中越地震あった際の県内の病院のデータ入力状況でありますが、全国平均は上回っておりましたが、地震発生が土曜日だったということもあって、対象病院のうち四割程度にとどまったということでございました。国では、こうした状況を改善するために、あらかじめ各病院担当者の携帯電話のメールアドレスを登録して、休日でも確実に連絡がとれ、迅速な入力が行えるようシステムの運用の改善を図っておりまして、県としても、各病院に対してその徹底を図っております。 災害拠点病院の体制についてでありますが、県では今年度から、災害拠点病院の機能強化を図る災害時救急医療体制整備推進事業を実施して、その中で、災害拠点病院の備蓄倉庫の整備についても、補助制度を設け、整備を推進しております。この結果、今年度、五病院に新たに備蓄倉庫が整備されることとなっております。また、病院の耐震化については、災害拠点病院のみならず、市町村立病院や救急医療担当病院を対象として、耐震診断費用を助成する医療機関耐震化促進事業を実施して、耐震化の促進を図っております。 地震に強いまちづくりの取り組みで、松島町の状況の御披露がございました。松島町では、世代継続する地震に強いまちづくりを目指して、自主防災組織づくりや防災教育活動が評価され、今年度、国の防災まちづくり大賞を授与されました。 松島町のまちづくりの特徴としては、若い世代を交えた町ぐるみの防災対策でありまして、地域で蓄積されてきた防災力を親から子供へと世代継続していくことや、小中学生を対象とした防災教育を実施していくというものでありまして、その手法は、地域の防災力を高めるために非常に効果的なものと考えております。県としましても、この活動が他地域へも波及していくことを種々の施策で支援してまいりたいと考えております。 次に、災害派遣医療チームの対応についてであります。 本県といたしましても、災害派遣医療チームに関して積極的に参画する必要があると考えております。緊急時に速やかな医療スタッフの派遣が可能な県内の二つの自治体病院に対して、DMAT-ディーマットへの協力を要請して、承諾を得ております。 なお、国が今年度の補正予算にDMAT体制整備に必要な予算を計上し、早期の体制整備を進めていることから、県としても、DMATの装備品の整備に必要な経費を二月補正予算に計上し、提案しております。 自衛隊の移動手術室との連携についてでありますが、DMATは、国の一体的な指揮下で運用されることとなっておりまして、その詳細な運用方法については、現在、国で検討されております。このため、御質問ありました自衛隊の移動手術室との連携については、現時点では明らかにされておりませんが、DMATの被災地への派遣には、自衛隊の輸送機などの活用も想定されておりますので、国が具体的な運用方法を検討する中で、自衛隊とも十分な連携が図られるものと考えております。 大綱二点目、教育の諸問題についてのお尋ねにお答えをいたします。 国語教育絶対論についてどうかということでございますが、国語は、論理的思考力、表現力、更には、豊かな情緒や感性の涵養の基盤ともなる重要なものと私も認識をしております。また、国語力を基礎としながら、同時に科学的な見方、考え方や数学的な表現、処理の仕方、こういったことを習得させる必要もあると考えております。 学習指導要領においては、小学校段階の国語の年間標準授業数は、他の教科よりも大幅に多く配分されておりまして、本県においても、この学習指導要領に基づいて、国語力の定着、向上に努めております。 祖国愛についてでありますけれども、祖国愛は、自国の伝統文化への理解と敬意を持つことなどによって自然にはぐくまれるものでありまして、個人の感性、情緒、その一つであると認識をしております。学校では、我が国の歴史に対する理解を深める学習や地域の文化と伝統に親しむ学習が行われておりまして、今後とも、そういった取り組みが適切に進められることが大切であると考えております。 このことをみやぎらしい教育に照らしてどうかということでございますが、みやぎらしい教育は、創意工夫によって、児童生徒一人一人の能力、適性を伸ばす教育を実現するために提唱しているものであります。さまざまな知的活動や豊かな情緒や感性の基礎となる国語力を身につけることは、個々人が能力、適性に応じた自己実現を図る上での前提となるものでありまして、みやぎらしい教育の推進に当たっても、極めて重要であると認識をしております。 関連して、OECDの調査についてでありますけれども、この調査では、社会生活の基本となるリテラシーについて国際比較が行われたものであります。我が国の子供たちの学力のうち、読解力などについては低下傾向でありまして、学ぶ意欲や学習習慣が乏しいということも明らかになっております。これに対しては、学校のみならず、家庭、地域社会も含めた総合的な対策が必要であると考えております。本県の児童生徒の学力向上に向けて、今後とも、
教育委員会と緊密な連携を図りながら、積極的に取り組んでまいります。 なお、この点に関する現状分析と打開策については、教育長からお答えをいたします。 私からは、次に、奉仕活動の義務化に対する考えと今後の方向性についてということでございますが、奉仕活動が実効性ある取り組みとなるためには、参加する児童生徒が、みずから意欲を持って取り組むことが基本であろうと考えられます。したがって、学校の奉仕活動について、これを一律に義務化するということについては、慎重に判断すべきものではないかと考えております。しかしながら、児童生徒が自主的に奉仕活動に取り組むためには、助け合うことや社会貢献の重要性を学ぶ機会を設ける意義は大きいものがあると考えております。県としても、市町村及び関係機関・団体とも一体となりながら、青少年の健全育成や
地域づくりなどの観点も含め、更なる取り組みの推進と充実に努めてまいります。 男女混合名簿についてお尋ねがございましたが、県としては、男女共同参画社会の実現に向けて、男女が能力などについて固定的なイメージを持つことのないような環境整備が必要と考えております。その一環として、男女を区別しての取り扱いについては、十分にその必要性を見きわめた上で判断をすべきものと考えております。学校におけるさまざまな名簿についても、男女の違いを考慮した上で、基本的には、その必要性から判断すべきものと考えております。 県立高校男女共学化の問題に関連して、伝統校に対するあこがれについてということで、個人的なことも含めてのお尋ねだと思いますので、お答えをいたします。 私の場合は、私が高校進学の際には、仙台には、これは私立も公立も含めて別学校しかありませんでした。ですから、仙台二高に進学したときに、男子校か共学かということは考える余地もなかったわけでございますけども、これも、我が家のすぐ近くでございましたし、将来の進路実現に向けた最適な学校として仙台二高に進学したものであります。 その仙台二高の伝統とか校風に対する当時の私の気持ちというのは、よく思い出せませんけれども、漠然としたあこがれのようなものはあったような気がしております。その伝統とか校風というのはよく言われますが、こういったものは男女共学化によって失われるものではないと思います。共学化後も、それぞれの時代の学校方針、在校生によって、まさに伝統がつくられていく、培われていく、更に築かれていく、そういったものであると考えております。 みやぎらしい教育としての別学についてどうかということでございますが、みやぎらしい教育というのは、自分たちの地域の教育は自分たちで考えるという、極めて基本的な考え方に立っているものでございます。つまり、独自の発想で、学校の評価、競争、情報の公開、そして教育を受ける側の選択を通じて、子供たちがこの宮城において最善の教育を受けられる環境づくりを進めていくということ、これがみやぎらしい教育ということでございます。別学、共学といった学校形態の違いからこれがもたらされるものではないと考えております。 私からは最後に、台湾の李登輝前総統が日本に来られたときに話があったということで、「祖国とは国語」という、この原点についてどうかというお尋ねにお答えをいたします。 国語、先ほども申し上げましたけども、日本人としての同一性というか、アイデンティティーの基礎であるというふうに考えられますが、その国語をしっかりと身につけた上で、それぞれの個人が、それぞれの年齢や立場に応じて、古典や芸術に親しみ、自然や歴史的遺跡に接して、また、勤労を通じて働くことの喜びを体得することなど、こういったことによって、生き方、考え方が更に深まっていくものと考えております。その結果として、尊敬される日本人が形づくられていくものではないかと考えております。国語については、こういった営みの基盤となるものでありまして、学校を初めとして、家庭や地域社会など、さまざまな場面を通じてその力をはぐくむことが重要であると考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(石橋信勝君) 教育長白石晃君。 〔教育長 白石 晃君登壇〕
◎教育長(白石晃君)
菊地健次郎議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、「まつしま防災の時間」についてどう思うか、これについて、防災教育を取り入れるべきではないかというようなお話がありました。 松島町における防災教育の取り組みでございますけれども、これは、義務教育課程で基礎的な防災実習の習得を統一的に実施しようとするものでございまして、児童生徒の防災意識の高揚はもとより、防災活動に対する理解と参加意欲の醸成を通しまして、地域防災力の向上が図られるなど、その効果が期待できるものというふうに考えてございます。 防災教育につきましては、これまでも、地域の実情に応じまして、各学校が学習指導要領などに沿いまして編成してございます教育課程の中で、避難訓練などを中心に行ってございますけれども、松島町が計画しているような取り組みまでには、残念ながら至ってないのが現状でございます。 県
教育委員会といたしましては、今年度新たに防災教育の充実を図るために、教職員を対象とした研修会を実施してございます。そのほかに、災害時の危険を認識し、みずからの安全を確保する行動や地域の安全に役立つことなど、児童生徒の発達段階に応じた防災教育のあり方や指導計画を内容とするパンフレットを作成して、配布してございます。 今後は、御提案のありました事例を含めまして、先進的な取り組みを研修会で紹介したいというふうに考えてございますし、更に、地域と連携し、継続した防災教育の充実に一層努めてまいりたいというふうに考えてございます。 それから、OECDの調査に絡みまして、学習指導要領改正による国語、算数・数学の授業の減少の時間数はどうなのかというようなお話がありました。 OECDの調査の対象となりました平成十五年度時点の高校一年生の場合でございますが、それまでの学習指導要領の標準時数に比べまして、小学校六年生から中学校三年生までの四年間において、授業時数として、国語で百四十時間、算数・数学合わせて九十五時間が減少してございます。この授業時数の減少時間は、学年による違いはございますが、単純に一年間の平均とした場合、国語で三十五時間、算数・数学では二十四時間減少してございます。 なお、現行の学習指導要領におきましては、これらの授業時数減の一方で、選択教科の時間というものがありまして、その選択教科の時間としまして、中学校三年間で最大二百八十時間の設定が可能でございます。各学校では、生徒の実情などに応じまして、国語、数学を含めた各教科の学習に活用している状況にございます。 それから、OECDの調査に対する本県の現状分析、それから打開策はどうかというようなお話でございますけれども、OECDの調査では、特に低下が著しいということで言われたのが読解力でございます。この読解力につきましては、本県の学習状況調査におきましても、文章を読み取る力が不足しているなど同様の傾向があるものと認識してございます。読解力に関しましては、文章や図表を理解して利用し熟考する能力と位置づけられておりまして、国語を基本に、理科や数学などを含めた幅広い力の育成が必要と考えてございます。 そのための打開策ということになりますけれども、
教育委員会としましては、こうした学力向上というものを最重点課題として位置づけてございまして、今年度、教育企画室という新たな組織を立ち上げておりまして、全般にわたる対策を進めてございます。具体的に申し上げたいと思いますけれども、小中高校の十二年間を見通しまして、これまで小中高における継続的な学力定着状況の調査、それから、小中学生の学ぶ意欲を高める地域学習支援センターの開設、モデル的な授業例のインターネットから配信、高校での国語などの学力水準表の作成など、基礎学力の向上に努めておるところであります。また、読書活動というところがありますけれども、国語力を支える読書活動を定着させるために、みやぎ子ども読書活動推進計画というものを策定してございまして、学校での朝読書や家庭での読書の習慣化などを幅広く促進しているところでございます。 新年度におきましては、新たに小中学校が児童生徒一人一人の学力向上に一体的に取り組む市町村を支援する事業などを展開し、更に学力向上対策を強化してまいりたいというふうに考えてございます。 それから、奉仕活動のお話がございました。県内各学校における奉仕活動の現状はどうかというようなお話がありましたが、平成十六年度におきまして何らかの奉仕活動を実施している学校は、小学校が五八%、中学校が五二%、高校が七二%となってございます。各学校におきましては、主として総合的な学習の時間や特別活動の時間を利用いたしまして、取り組みを進めておるところであります。 奉仕活動の義務化という考え方に対してどうかと、それから、今後の方向性はどうかというようなお話ですけれども、学習指導要領におきましては、学校活動全般でボランティア活動や奉仕の精神涵養を進めるように示されておりまして、これに基づきまして、各学校の実情に応じたさまざまな取り組みが進められてございます。奉仕活動につきましては、児童生徒の自主的な取り組みというものが基本になるというふうに考えてございます。また、これに加えまして、小中学校段階では、各学校は、市町村
教育委員会の権限のもとに教育課程を編成することとなってございまして、全学校一律に義務化するということは、難しいものではないかというふうに考えてございます。 なお、十三歳の社会へのかけ橋づくり事業というものが、来年度立ち上げたいというふうに考えでございますけれども、これは義務化するのではなくて、市町村
教育委員会の同意のもとで進められるというふうに考えてございます。 また、高校におきましては、既に奉仕活動の実施率が年々高まってございまして、学校評議員の要請などにより、各校ごとにさまざまな取り組みが実践されておりますので、現在のところ、義務化することは考えてございません。 今後とも、先進的な取り組み事例の紹介や各学校への具体的な取り組み面のアドバイスなどを通じまして、取り組みの一層の推進と充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。 それから、男女の違いを理解させる教育についてはどうかというようなお話でございますが、各学校におきましては、体育、理科、道徳などにおきまして、学習指導要領に即しながら、身体的な特徴の違い、成長過程における精神面での違いなど、男女の違いについて理解するように学習指導を行っているところでございます。 それから、男女混合名簿のお話でございますけども、学校における名簿について、これはちょっと現状、実態を申し上げたいと思いますけれども、身体測定の結果を記録する場合、これについては男女別の名簿、それから、学習状況を記録する場合は男女混合名簿ということにしている学校が多い現状でございます。名簿作成については、男女の違いを考慮した上で、記録上あるいは活用上の利便性などを踏まえまして、各学校におきまして、教育活動の実情に即して判断すべきものではないかというふうに考えてございます。 それから、伝統校に対するあこがれということで、私の個人的なところもちょっと聞かれてますけれども、当時を顧みますと、これは比較的学校が家に近かったということもございますし、それから、あとは、高校の伝統校風というのは、少々は、先輩たちもおりましたので知っていたわけですけれども、いずれ将来の進路を考えていったときの進路選択というところが主な理由ではないかなというふうに、ほとんど忘れてしまいましたが、そう思っております。 それから、みやぎらしい教育としての別学についてということでありますけども、すべての県立高校の男女共学化については、学習指導要領上の男女の差異がなくなりまして、更に、進路選択面でも男女の差がなくなっていること、それから、性差だけで受験機会を制限する合理性がないということを主たる理由で推進しているものであります。こういったことで、県立高校の共学化につきましては、県民の教育を受ける権利の平等、公平を保障する観点から、県立高校が公の施設である以上、必要な施策というふうに考えておりまして、将来を見据えた宮城の教育のあり方として、必要なことではないかというふうに考えてございます。 それから、男女共学に絡んで、共学化に際しての女子校の負担、あるいは犠牲というものがあるんではないかというふうなお話がありました。 確かに、女子校については、校名に女子の文字がある場合については校名の変更が必要となりますし、校歌や校章についても、明らかに女子をイメージする場合は変更することとなり、新しい校歌の制作あるいはユニホームの刷新などの経費が生じることになります。ただし、変更に当たりましては、同窓生、それから保護者や在校生などの意見を取り入れて決定しているところであります。 更に、序列化というお話がありましたが、県
教育委員会では、共学化を先行しております岩手県、それから、秋田県、山形県、それから福島県などを調査しておりまして、既に共学化後の状況を分析評価したところであります。特に序列化については調査がありまして、福島県の事例を申し上げたいと思いますけども、これは、旧女子校におきまして、入学時に女子の上位層が旧男子校に流れる事態に学校が危機感を抱きまして、教職員や保護者が大きな努力を重ねた結果として、多くの旧女子校が進学実績を向上させたというふうに聞いてございます。また、福島県では、地域内におきまして、共学化より、生徒間あるいは学校間での切磋琢磨が行われておりまして、それぞれの学校が活性化し、地域全体として進学実績の向上に結びついているというふうに伺ってございます。 したがいまして、このような他県の先行事例を参考にしながら、現在、県
教育委員会と各学校におきまして、共学化後の学校のあり方を検討しているところでございます。 以上です。
○副議長(石橋信勝君) 四十一番
菊地健次郎君。
◆四十一番(
菊地健次郎君) まず最初に、津波関係でございますけれども、一番最初の質問のところで、知事が大分万全を期しているという話をされておりましたけれども、レンズ効果っていうやつですね、大分ハザードマップなどで調べているというふうなことなんですけども、これ、確認したいんですけども、仙台の平野部、私もあの辺、ちょっと荒浜界わい歩いてみましたら、大分、貞山運河沿い、防潮林も以前と比べて相当少なくなっているという現地の方の話もありましたし、レンズ効果というものがあそこで起きた場合に、果たして大丈夫なのかなという懸念を抱いたものでありますから、私、質問したわけです。 それと、質問にはなかったんですけど、あそこにちょうど宮城県と仙台市と共同のヘリポートがございますけども、あの辺も、例えば四メーター、五メーターの津波が襲った場合には、ヘリコプターが飛び立つ前にやられてしまう可能性だってあるんじゃないのかなという思いもありまして、その辺のことをもう一度、改めて、レンズ効果の発生があるのかどうか、その辺もちゃんと調べてあるのかどうか。それから、ヘリポート基地、あの辺は津波対策として万全なのかどうか、お伺いしたいと思います。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) お答えをいたします。 今の、例えば防潮堤なり、そういった設備について、現在、もう万全です、全く問題ありませんというふうにはお答えはしておりません。まず、現状も、防潮堤の安全性とか、それから、防潮林の現状、これも再点検をしつつありまして、適正な管理に努めているということでございます。そういったことで、全く完璧であるという状況、これはなかなか言いがたい部分がございます。今挙げられたヘリコプター基地、これも、もらろん津波の規模にもよりますけれども、相当なものが来れば、これは被害をこうむることもあり得ますが、常識的な範囲でということで対応するしかないのではないかとは思っております。 その中で、レンズ効果の話がございまして、これは、我々も関心を持っているところでありまして、先ほどお答えいたしましたが、浸水域予測図は五十メートルメッシュで作成して、その際にレンズ効果、つまり海底の地形条件も配慮をした、考慮した上での津波浸水域予測図というものをつくっておりますので、現状でどういったところに大きな被害が出てくるかということは、一応、この予測図に落としてございます。そういった状況でございます。
○副議長(石橋信勝君) 四十一番
菊地健次郎君。
◆四十一番(
菊地健次郎君) 今ちょっと知事の答弁、まだ不安定なところがあるなというふうな思いでございますけども、あのヘリポート基地ですね、完全にあの、見てきましたら、やっぱり四メーターぐらいの津波が万が一来たらば、完全にやられてしまいますよ。ですから、もう一度、その辺、調査して、精査して、安全を確実にしていただきたいなという思いがいたします。 それから、教育問題でですね、奉仕活動ですけども、東京都では、今般、三十五時間高校生に義務化したということ。なぜ義務化するか。今の高校生たちに大人になってもらいたいという曽野綾子さんのことを述べましたけども、やっぱりトップである知事が、高校生たちへの思いとか、そういうものがないと、一律に義務化するのはどうかという、そういう疑念のもとだけでは、ちょっと私は、教育長と、それから知事に、この奉仕活動のあり方みたいなものを、知事の考え、教育長の考えをもう一度聞いてみたいなというふうに思いますけども、いかがですか。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) これは、奉仕活動についての義務化については、ちょっと私も若干個人的にというとあれですけども、思いはございます。よくボランティアと言いますよね。ボランティアが大人になってやれるようにと。ボランティアというのは、語源上もこれ、自発性ということです。ボランティア、イコール、奉仕活動ではありません。やっぱり奉仕活動する際に大事なことは、結構、自発的に、喜んでやるということだと思います。それで、確かに両面あります。高校時代に、つまり若いころにそういう奉仕活動をするということで、そういった活動に目覚めるということ、これはございます。ただ、実際にはですね、まあ数としては少ないかもしれません、やり方次第にもよるかもしれませんけども、それで嫌になってしまうということもないわけでないんですね。長じて、そういったことによって毛嫌いをしてしまうというようなことがあるので、むしろ自発性というものを大事にするとすれば、その奉仕活動に若いころに携わせるときにも、相当うまくやらないと逆効果になるというおそれはあるだろうと思っております。 それで、慎重にというようなことを考えているんですが、したがって、その高校生奉仕活動全部義務化と、こう簡単に言ってしまう、やってしまうということには、やや戸惑いがあるということを申しております。もちろんやり方次第ということはあろうと思いますので、そのやり方については教育長の方が詳しいと思いますから、この後、教育長からもお話があると思います。私にと聞かれましたので、私は、率直に言って、今のように慎重にという部分も必要だろうというふうに考えております。
○副議長(石橋信勝君) 教育長白石晃君。
◎教育長(白石晃君) 奉仕活動をどうとらまえるかというところにいくんだろうというふうに感じましてございます。奉仕活動そのものについては、やはり自主的に奉仕活動に取り組むというところが原則かなということで考えてございまして、やはり、そういった奉仕活動から来る、助け合うこと、あるいは社会貢献の重要性、そういったものを学ぶ機会を与えるというところの意義というものがあるんではないかなというふうに思っておりますので、特に、それを超えて一律義務化というところは、これは少しいかがなものかなというふうな感じはしてございます。 いずれ、学習指導要領の点では、そういったところで、ボランティア活動、あるいは奉仕の精神涵養を進めなさいということで学習指導要領上は書いてございますので、それはそれとしてやるし、それから、あと、小中学校の段階では、教育課程そのものが、
教育委員会の主導のもとに各学校が定めるという形になっておりますので、そういった点からすれば、県から小中学校の方に、いわば義務化するというところも難しいかなというふうな考えでございます。
○副議長(石橋信勝君) 四十一番
菊地健次郎君。
◆四十一番(
菊地健次郎君) 東京都で義務化したということは、やっぱり今の子供たちにとって、ボランティアでは自主的にしかできない。義務化することによってそれなりに、今の東京都でも、奉仕活動のいろんな分野、さまざまな分野考えているんだと思うんですけども、押しつけて-義務化ということは押しつけてでございますから、やはりそこまで至ったのを、どういう過程で至ったかというのを、教育長は恐らく御存じであるのかなというふうに思いますけども、私も宮城県内の県立高校ぐらいは、やはり将来的には義務化すべきではないのかなと、今の世代の人たちに、そういう思いを持ってるんですけれども、もう一度、教育長の考え方をお伺いしたいと思います。
○副議長(石橋信勝君) 教育長白石晃君。
◎教育長(白石晃君) 東京都の例は知ってございます。それから、あと、曽野綾子さんがいろいろ新聞の方で、いわば義務化しないと奉仕活動を理解できないんではないかということで、やはり義務化すべきだという論法でもっていろいろ論文を書かれているということも承知してございます。そういった点を踏まえながらも、やはり奉仕活動そのものをどう考えていくのかということでいけば、それは、やはり児童生徒の自発性というところがまずあって、そこから出てくる気持ちだろうというふうに考えてございます。
○副議長(石橋信勝君) 二十七番藤原範典君。 〔二十七番 藤原範典君登壇〕
◆二十七番(藤原範典君) イギリスのブレア首相の理論的指導者であるアンソニー・ギデンズが第三の道を提唱したのは、一九九九年でした。日本では、慶応義塾大学の元塾長の堀江湛さんが主宰する政策研究フォーラムが、昨年、日本における第三の道構想を発表いたしました。 社会思想研究会の初代議長は、東京大学の初代の行政学の教授であった蝋山政道教授であり、戦争中の軍部の思想弾圧に抗議をして、東京大学の教授の職を辞職をした、自由主義者の河合栄次郎先生と行動をともにして、当時の各新聞は、一斉にこのことを義挙と報じました。最後の授業を終えて感動した東京大学の学生たちが一斉に立ち上がり、先生を蛍の光の合唱で送らせてくださいと言ったとき、蝋山政道教授は、「別れても又一路や花の山」、ここで諸君たちとは別れるけれども、真実一路の道を歩んでいけば、やがて実り豊かな花の山で会うことができるという、あの長岡藩の河合継之助の句を読んで、手を大きく振って、春まだ来の東大の赤門を去っていったと、当時の新聞は報じています。 日本における第三の道は、旧来型の大きな政府でもなく、あるいはまた単なる小さな政府でもなく、現在提供している公共サービスの必要性とその範囲を絶えず検証し、ぜい肉のない筋肉質の政府をつくることを目標としていますが、私も同感です。知事の御見解をお尋ねいたします。 日本の少子化時代の始まりは、一九九〇年の一・五七ショックでした。一人の女性が生涯において産む子供の数を示す合計特殊出生率は、現在日本の平均は一・二九であり、宮城県は三年連続減少し続けて、現在一・二七になっています。日本の現在の人口は一億二千六百万人、これが二〇五〇年には一億人程度になります。そして、そのときには、六十五歳以上の高齢化率は三五・七%に達すると言われています。一国の経済力は、働く人の数掛ける一人当たりの生産性によって決定されます。現在の労働人口八千五百万人は、二〇五〇年には五千三百万人になると言われています。宮城県も人口減少が定着している中で、現在の生活水準を維持するためには、機械やロボットの力を借りるか、あるいはまた一人当たりの生産性を上げていかなければなりません。子供は未来への希望の象徴であり、少子化は未来への不安をあらわしています。 内閣府の調査でも、日本国民の七六%が将来への不安を訴えています。男女共同参画は女性だけの問題ではありません。ある意味では経済の問題であり、男の人も女の人もあらゆる人がその能力と資質を十二分に発揮して社会に参画することが今期待されていると思います。問題なのは、これまでのシステムが右肩上がり、そして増大、成長を前提としていることではないでしょうか。地方分権の時代を迎え、自治体経営が今必要とされているときに、民間の活力を十二分に発揮しながら、公と民の協働による新しいシステムづくりが必要とされていると思います。少子化時代における知事の基本戦略についてお示しください。 本県財政における歳入構成比を知事就任時の平成五年度と直近の平成十五年度の数字を比較してみると、地方税収入のウエートは二五・九%が三〇・二%になり、地方債のウエートは一四・七%が一二・八%に、地方交付税のウエートは一八・四%が二四・四%と高くなり、今後の方向が不透明な中、プライマリーバランスは、平成十六年度七十二億千六百万円、平成十七年度三十三億八千六百万円と辛うじてプラスを保ってはいるものの、最近の経済環境から今後厳しい財政運営が余儀なくされていることは間違いありません。 以下、質問をいたします。 一、地方自治体をめぐる経済環境の変化についてですが、九一年のバブル崩壊以降、不況を乗り切るという名目のもと、九二年二月からはゼロに近い短期金利が設定されてきました。しかし、二〇〇四年に入ってからは、最高一・八%と、二%近い上昇を見せています。金利が上昇すれば、借りかえするたびに債務負担は厳しいものになりますが、その対策は考えられているのでしょうか。 二、ことし四月からのペイオフ解禁は、地方銀行の不良債権処理を一層加速させると思いますが、第三セクターへの貸付などの債務の返還を要請された場合のことは想定されているのでしょうか。 三、日本における第三セクターの最初は、大正二年設立の佐渡汽船株式会社と言われています。一九九八年ごろから金融機関に対する検査基準の強化により、地方金融機関の融資が厳しくなったことと自治体自体の財源の枯渇により、第三セクターの破産が急増しています。平成十五年度末現在、本県が出資しているのは百三十六団体であり、出資金の合計は五百三十九億二千六百二十二万円に達しています。二五%以上出資している第三セクターのうち九団体が累積欠損を抱え、その合計金額は四十一億三千三百五万円であり、公社等出資団体への貸付金は十二団体で合計二百七億七百四十五万円です。これらが破産した場合、出資した資金を失うことになるのでしょうか。また、県が債務保証しているのは、県土地開発公社百五十五億一千四百二十七万円、県道路公社の二百八十四億七千二百十八万円であり、県が損失補償しているのは、信用保証協会や住宅供給公社など六団体の千四百五十六億九千二百四十八万円に達しています。万が一これらの団体が破産した場合は、県が債務を払うことになるのでしょうか。 四、二〇〇四年度の国の累積赤字は五百四十八億円であり、毎年の予算編成で四割近い借金をしなければ予算を組めない異常な事態となっており、地方の財政赤字を支える力はなくなっています。財政赤字解消へ向けて考えられるシナリオは二つです。それは増税によるものなのでしょうか。既に二〇〇三年六月に出された政府税制調査会中期答申は、消費税は将来一〇%に引き上げる必要があると述べています。又は、インフレによるものでしょうか、消費者物価指数が、例えば毎年一〇%以上がれば、五年間での債務残高の名目GDPへの比率は、一・四倍が〇・七倍と半分以下になります。これは政府がみずから手を汚さず、国民全体に負担をさせるものですが、高齢者が大きな打撃を受けます。又は、ほかに方法があるとお考えでしょうか。 以下の質問は、自席からさせていただきます。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 藤原範典議員の御質問にお答えをいたします。 財政危機の克服策、むだのない行政運営についてということで何点かお尋ねがございました。 まず、ぜい肉のない筋肉質の政府をつくるべきだと思うがどうかということでございますが、おっしゃるとおりだと思います。地方分権の推進、官民協働の進展及び三位一体改革など、地方を取り巻く環境は大きく変化してきております。こういった中で、これからは県民ニーズを十分に把握した上で県民が本当に必要として、かつ県がなすべき施策について、言葉で言えば、選択と集中というんでしょうか、そういったことを図って、簡素で効率的な組織体制に転換を図る必要があります。必要なものにはそういった事業を選択し、そこに集中をしていくということでございますから、これもぜい肉のない筋肉質の政府というのに近いものだと思います。 自治体の経営戦略についてでありますけれども、これからの社会は、お話がありましたように、行政だけが地域経営の主体となるというのではなくて、地域のすべての構成員が自立的、主体的に知恵とエネルギーを発揮できるような、いわゆる協働型の地方自治の実現が必要であると思います。そのためには、公と民との間で強固なパートナーシップを築いて、それぞれが自覚を持ちながら、地域経営の役割と責任を果たしていくべきものと考えております。 次に、金利上昇によって生ずる借りかえによる債務増加どうするのかということでございますけれども、まず、本県の地方債の借り入れでございますが、最近の金利状況によって、低利での借り入れが可能となっておりまして、その意味では金利負担の軽減が図られております。借換債の発行でございますけれども、これについては、十年前に比べますと、低い金利設定でできますので、金利負担の増加ということからは免れております。 今後、金利が上昇した場合どうかということでございますが、これは極力その負担を軽減すべく、借りかえ期間など条件の検討に加えて、財政を取り巻く環境を見据えながら、県債発行の抑制など財政の健全化に向けた取り組みが必要であると考えております。 次に、第三セクターへの貸付についてでありますけれども、第三セクターへの貸付債権が不良債権化する大きな理由は、その第三セクターの経営状況の悪化であります。このため、県では、第三セクターなど公社等外郭団体に対して、公認会計士三名から成る公社等外郭団体経営目標・評価推進委員会の助言を得ながら経営改善について指導を努めているところであります。 次に、第三セクターへの出資金などの扱いでございますけれども、出資団体が破産したり解散する場合どうなるかということでございますが、株式会社に対する出資金でありますので、これについては、破産会社の残余財産にもよりますが、当然にその全部又は一部を失うこととなります。また、公益法人に対する出捐金も同様でございます。その全部又は一部を失うということでございます。破産した場合の県の債務保証それから損失補償どうなるかということでございますが、それぞれ保証額、損失額を県が支払わなければならないということでございます。 次に、国の財政赤字解消のためには増税かインフレかしかないという点についてどうかということでございますが、確かに歳入増につながる増税、それからインフレによる債務の実質的な軽減、これが財政赤字の解消につながるということはそのとおりでございます。そのほかには、財政的な観点から申しますと、まず、民営化でありますとか規制改革、それから制度改革による行政コストの低減、こういったようないわゆる聖域なき歳出削減というのを進めるべきものと思います。また、少子高齢化など、経済社会の構造変化も踏まえて、行政サービスの受益と負担のバランスの観点から、給付面における抜本的見直しと負担水準の引き上げ、こういったことについての検討も必要になってくるものと思います。こういったように歳入歳出両面からの対策によって、公債残高を更にふやしていくことのないような、長期的にも持続可能な財政体質を構築していくことが重要であると考えております。
○副議長(石橋信勝君) 二十七番藤原範典君。
◆二十七番(藤原範典君) まず、今の知事答弁に対して質問させていただきます。 金利上昇の可能性が強まる中で、借換債の発行状況は、平成十四年百七十五億円、十五年二百四十八億円、平成十六年四百八十億六千万円と大きくふえています。更に金利は上昇の方向にあります。本当に大丈夫でしょうか。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 本当に大丈夫かと言われると、借換債をするときには、そのときの金利によるわけで、その金利が今上昇傾向にあり、そのときの金利で設定されますので、それはむしろ金利が上がって不利になるということははあり得ます。さっき申し上げましたのは、そういう中で、なるべくそういうような公債をふやすということをしないようにということを申し上げたので、これからそういう状況が必要になれば、これは負担はその分ふえてくるという状況は免れないとは思います。
○副議長(石橋信勝君) 二十七番藤原範典君。
◆二十七番(藤原範典君) 先ほどの答弁は非常に簡単な答弁でしたけれども、危機管理は、常に最悪のケースを想定すべきですが、第三セクターの破綻は、最悪のケース、幾らぐらいになりますか。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 先ほど議員が数字をおっしゃいました。最悪のケースであるとすると、出している出資金全部なくなるということですが、これはそれが同時にそうなるということ、理論的にはあり得ますけれども、さっきおっしゃられた数字というのが全部かかってくるという状況だと思います。
○副議長(石橋信勝君) 二十七番藤原範典君。
◆二十七番(藤原範典君) 先ほどの数値の合計は、二千六百八十四億四千五百六十五万円の損失となりますが、そこまではないにしても、十分な危機管理をもってやっていただきたい、そういうように思います。 ところで、財政運営は、一、予算に関して数年間の見通しを持っているかどうか、二、財政の安定と健全化の維持、三、十分な財政情報の政策担当者や県民への提供、四、財政運営の適切な統制によって評価されるという見方がありますが、これについてはいかがですか。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) まさにおっしゃるとおりで、今挙げたような指標、こういったことが評価の対象になるだろうと思っております。本県でも、今挙げられたような項目による評価の重要性という考え方を取り入れまして、例えば中期的財政見通しや財政フレームについては、これを公表しております。それから、財政状況も公表をしております。また、政策評価という意味では、成果主義の政策評価を実施をしておりますし、また、重点施策などの政策形成段階からの公表といったものにも取り組んでおります。また、予算編成においても、組織内分権といった方法を取り入れて、今挙げられたような項目について、我々としては積極的に前向きに取り組んでいるところでございます。
○副議長(石橋信勝君) 二十七番藤原範典君。
◆二十七番(藤原範典君) 今の基準は、アメリカでは、自治体の財政運営の評価づけが一般的になっていますが、そこにおける有名なシラキュース大学のザ・ガバメント・パフォーマンス・プロジェクトという評価基準なんですけれども、財政破綻あるいは債務不履行といった事態を想定した制度は、日本ではまだ準備されてはおりません。これまで日本で、自治体の債務不履行、デフォルトの例があるかどうか。また、世界で自治体の破綻を規定した制度があるかどうか、御存じでしょうか。
○副議長(石橋信勝君) 知事浅野史郎君。
◎知事(浅野史郎君) 国内の場合は、財政破綻というよりは、いわゆる財政再建団体になって、全部自治体としての運用がとめられたという例、これは承知をしております。財政破綻という例は、承知をしておりません。国外のものはちょっと承知をしておりませんが、アメリカ、カリフォルニア州のある自治体がそういったところに陥ったというようなことを聞いた覚えがありますが、明確な記憶ではございません。